知りたがりハニー
「幸村、今日の練習のこ……ブフッ」
「………。人の顔をみて噴き出すのはどうかと思うよ、黒河…」
「だ、だって……、ゆ、幸村…!アンタ…っき、昨日発売の月刊プロテニス見てないの…っ?」
「……え?」
―――……。
『立海の神の子に密着!その隠された素顔に迫る!!!』
そんな愉快な見出しを見て、幸村がどんなリアクションをするか楽しみだったけど、彼は意外と落ち着いていた。
「あぁ…ある程度予想はしていたけど、本当に大袈裟に書いているね…」
苦笑混じりに呟く幸村。
確かにこの愉快すぎる特集に嘘は書かれていない。
只、表現が異常なまでに大袈裟なだけだ。
「幸村、聖者の写し絵みたいらしいよ…!」
「…フフ」
「つか二頁目のテニススタイル特集だけ見たら幸村、超ドSみたいじゃん!…相手を足下に跪かせる的なこと書いてあるし!!」
「毎試合そこまでやっている訳じゃないんだけどなぁ」
(否定はしないのか…)
こうやって第三者目線で書かれた記事を見ていると、ふと気づく事がある。
「……てかさ、“密着!”とか書いてる割に…外面的なことしか書かれてないっていうか…」
「ん?」
「…ぶっちゃけ、隠された素顔に迫れてなくない??」
私の一言に、幸村はキョトンと目を見開く。
だけど、次の瞬間。
「フフッ…アハハ!」
「えっ?ええぇぇ?!」
まさかの爆笑。
普段から微笑むことはあっても声に出して笑うなんて滅多にない幸村が、爆笑している。
「…フフフッ…よく、そんなことに気づいたね、黒河…っ」
まだ肩を震わせてる彼に困惑を隠せない。
どうしたものかと考えあぐねていると、爽やかな微笑を讃え、まさしく神々しいオーラを放った彼はこう宣う。
「他人から見た俺は、その範囲内での俺にしか過ぎないんだよ。それは俺であっても、俺の全てじゃない…」
だから俺に密着しても面白くないだろうって、記者の人に最初に言ったんだ。
そう、幸村は笑った。
「あくまでも、…死角はない」
そして、彼は微笑うのだ。
「君に俺の全てを知る覚悟はあるかい?」
答えはYES。
――――――――――
幸むライブ。勝手に祭り上げ企画。第一段…突撃!なんとかのネタ(笑)
(11/06/21)
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