青春pink soda



「俺のカノジョになってください」



黒河沙紀。

ハツカレなるものができました。


 ―――……。


クラスでも学校でも人気者の切原君の彼女になった翌日。
なんと彼は家まで迎えに来てくれた。



「……はよ」

「……おはよう、切原君」



なんとなく朝が弱いイメージだったんだけど……。



「行くか」

「うん」



並んで歩き出してすぐ、隣で小さく欠伸をする姿が目に入った。



「……もしかして、寝不足?」

「……!え、いや、その…あー……」

「……?」



問いかけると、立ち止まり何故か頭を抱えてしまう彼。

どうしたんだろう。

つられて足を止め、首を傾げる私に彼は困ったように笑った。



(あ、この顔好きだな)



不意にそんなことを考えて表情が弛んでいたところに。



「……笑うなよ?」



と言われ、私は慌てて顔面の筋肉を引き締める。



「う、うん」



改めて向き合ったら、なんだか急に恥ずかしくなってくる。
微妙な位置に視線をさ迷わせながら、切原君の言葉を待った。



「黒河とカレカノになれたのが嬉しすぎて、ぶっちゃけ昨日あんまり寝てねぇ…」



「……え」



予想外の言葉に、顔に熱が集まるのを感じる。

嬉しいとか、恥ずかしいとか。

色々、混ざって。



「あ、あの……!」



でも、やっぱり嬉しいがいちばん先に立ってたから。

私は精一杯の笑顔を向けた。



「私も、嬉しい」



照れ臭そうに笑う切原君に、心臓がきゅってなった。










――――――――――
青春時代にかえりたい
(12/8/18)


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