「うん、緑のカードにする……」
「あー、柳だったんだ!」
「……」
「え?なぜ無言?」
「いや、正直……黒河が緑のカードを選び図書室に来る確率は50%以下だったからな……」
まじか。
グリーンすきだぜ私。
グリーングリーンとか歌うぜ。
「今、黒河が緑違いのコトを考えている確率91.7%」
「正解」
結構こういったどうでもいいやり取りするよね、私たち。
そう言うと、柳が少しだけ笑った。
「ところでさ」
「ん?どうした?」
「その頭に刺さってるブツについてはツッコんだほうがいい?」
そう。
柳の頭に何が刺さって……というかくっついている。
「……いや、放っておいてくれ」
「まじか。でもここ詳しく説明しないと読者の皆様に大変伝わり難いと思うわけ。私の心理描写じゃ伝達力に欠けるだろうから」
「黒河……!」
あ。柳が狼狽えてる。
可哀想なのでフォローしながら会話を進めることにした。
「……。その仮装てフランケンだよね?自分で考えたの?」
「……精市のクラスの女子が考えたらしい。それを俺たちがクジで選んだんだ」
そのクジ……恐らく何かあるぞ。
多分、彼も同じ事を考えたのだろう。
軽く肩を竦めてみせた。
もう諦めた表情だ。
流石、幸村の幼なじみ。
「ああ……そういえば」
不意に、柳がモッタリしたツナギから本を取り出した。
「……あ!」
「フッ、おまえは「それ私の読みたかった小説の新刊」と言う」
「正解」
ニヤリッと互いに笑ったあと、その本を受けとる。
だけど、柳の表情が少し曇っていることに気づいて首を傾げた。
「……日頃の感謝を返す方法を、俺なりに考えたんだが……これしか思いつかなくてな」
そう言う彼にニッコリと微笑み掛ける。
「コレで十分伝わるよ!柳らしくていいじゃない」
「……!……本当に黒河は、いつも俺の予想の上をいく」
「ありがとう」
予想通りじゃつまらない。
常に貴方にサプライズを。
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柳も最初で最後だな。
(11/10/19)
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