「ねえ、ダガーはジタンのどこが好き?」
それはとある昼下がりのことだった。
「え?」
ガーネットは走らせていたペンを思わず止める。
今日は仕事が少なく、普段たまっている書類にサインをするだけの作業をしているところエーコが訪ねてきたのだ。
そして、今の一言。
「だから、ダガーはジタンのどこが好きなの?」
ガーネットの机に身を乗り出して興味津々の様子で今一度尋ねる。
「ど、どうしたのいきなり…」
目を泳がせ明らかに動揺するガーネット。
「なんとなく聞きたくなったの!」
エーコは腰に手を当てふんぞり返る。
「一応、ダガーはエーコのライバルなんだから! 好きな理由くらい教えてくれたって良いでしょ」
ライバルといってもエーコが一方的に言っているだけなのに―――と思いつつ、ガーネットは頭を悩ます。
(どこが…好き?)
そんなこと考えたこともない。
気がつけばずっと隣りに居てくれたし、自分もそれを望んでいて、今では掛け替えの無い大切な人になっていた。
「エーコはね、かっこいいところが好き」
なかなか口を開こうとしないガーネットにエーコは自分のことを話す。
「かっこいい…?」
「そうよ! だってジタン以上に見た目も中身もかっこいい人いないもん」
確かにジタンは端正な顔立ちをしている。
共に旅をしている時も道行く女性達の視線をよく集めていた事を思い出し、つい眉間に皺が寄ってしまう。
しかし外見等、彼の中身の素晴らしさを考えればおまけにもならない。
常に気配りを忘れなずに手を引いて導いてくれる、頼れる所に心を動かされたのは他でもない自分。
「…わたしは…」
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