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戦闘が終わり木陰でしばしの休息を取る為その場に座り込んだ。
今さっきまで激しい戦闘を繰り広げていたせいで大量の汗が肌に張り付く。
その汗を吹き抜ける爽やかな風が乾かしてくれて、ジタンは気持ちよさげに目をつむった。
さわさわと風に揺れる草の音以外はなにも聞こえない。
仲間たちはそれぞれ離れた場所で休んでいるのでいつもの騒がしい会話もない。

自然に囲まれたった一人だけのひととき。

確かに心地よいし、たまには一人でも良いかな等と思う。
しかし騒がしい環境になれているせいで思ったよりもくつろげなく、むしろ落ち着かない。

「誰か来てくんねーかな…」

と言っても、皆自分のしたいことをしているはず。
自分の元に誰かが訪れるはずもなかった。

「暇だなー…」

木にもたれかけ独り言と共にため息を吐く。

天気は快晴。
雲一つない青空にちょうどいい暖かな気温。
文句なしに休息時間にはもってこいの状況だというのに。

なにかが足りない。
いつもあった、というより自分の傍らに存在していた、なにかがない。
それが何かはわからないけれど
とても物足りない気分になった。

しょうがなく両腕を頭の後ろに組みそれを枕にして木にもたれ寝ようとした―――その時

「ジタン?」

凛と繊細な鈴が鳴ったかのような麗しい声が頭上から降ってきた。
同時にジタンは反射的につむっていた両目を勢い良く持ち上げる。

「きゃっ!?」

それに驚いてか声の主は一歩後ろに下がり思わず身構えていた。
そんな彼女の姿を見とめ、ジタンは苦笑しつつ口を押さえもせずに思いきりあくびをする。

「どうしたんだい、ダガー?」

問われたガーネットは下がった距離を埋めるため前に進みジタンの目の前にちょこんと座った。

「なんとなく来てみたの」

そう言ってにっこりと笑う。
その見とれる程の華やかな笑顔を向けられジタンもつられて表情が柔らかくなる。

「そっか。 よかったよダガーが来てくれて」
「どうして?」

ジタンの前から隣に移動してその場に腰掛けるガーネット。

「なんか一人って慣れてなくてさ。 落ち着かなかったんだ」

そう言ってほっとため息をつく。
ガーネットはじっとジタンの顔を覗き込みぽつりと言う。

「…じゃあ……今は落ち着くのね?」

すると、ガーネットは我に返ったように口を押さえた。
今自分の発した言葉が信じられないとでも言うように目をしばたたかせる。
驚いたのはもちろんジタンも同じで、まさか彼女の口からそんな疑問が出るとは思わず、ただ目を丸く見開きガーネットを見つめる。

「…あ、ううんなんでもない、そうなんでもないわ!」

顔を真っ赤にして自分に言い聞かすように早口で言い訳をする
ガーネットの姿があまりにも可愛くてジタンはくすりと笑う。

「わ、笑うことないじゃない…」

ふてくされた様子で言うのもますます可愛く思え、ジタンはふっと口元を緩め微笑む。

「…ああ、すっごい落ち着くよ」

そう言ってごろんと地面に寝転がる。
寝転んだ為にガーネットを見上げる形になった。
じっと優しい眼差しで見上げられ、ガーネットは体を硬直させた。

「…他の女の人にも、そんなこと言っているの?」


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