先ほどの言葉を全て聞かれていたことに恥ずかしさが全身を駆け巡り体が熱くなる。
ジタンの前に立って腰に手を当て睨み上げる。
すると彼はなんでもないように飄々と答えた。
「どうって、ダガーの気持ちが聞きたかったからさ」
「…え?」
ガーネットは怪訝な顔をする。
ジタンは真剣な眼差しで彼女を見つめた。
「…ダガーは立派な女王様だろ? だから、こんなオレのどこが良いのか気になった…いや、不安になったんだ」
首もとを掻き眉を下げて笑う。
「でも、聞けてよかった」
『全部がたいせつ』
ジタンは幸せそうに満面の笑顔を浮かべた。
それを見てガーネットは口もとに手を当て俯く。
「…不安にさせてたなんて……わたし、そんなこと…全然気がつかなかった」
掠れた声で言葉を落とすガーネットにジタンは慌てて言う。
「いや、ダガーはなんも悪くないんだって! オレが勝手に…」
うろたえるジタンの胸にガーネットは両手を付きしなやかに寄りかかった。
「…身分とか、そんなこと…気にしないで。ジタンはジタン。わたしの……誰よりも一番たいせつな人よ」
ガーネットは顔を上げ揺れる瞳をジタンのサファイアの眼に合わせる。
「…あぁ…ありがとう」
ジタンはガーネットの艶やかな黒髪をそっと撫でながら穏やかに笑う。
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