“どこが―――?”
「…どこが、じゃないの」
ただ……
「……全部が、たいせつ……なの」
ガーネットは言った後にみるみる顔を朱色に染める。
曖昧な言い方に置き換えたもの、その意味は幼いエーコでも理解できるだろう。
「―――…だってさ、ジタン」
「…え?」
エーコはいるはずのない人物に話しかけ、にんまりと悪戯な笑みを浮かべる。
すると部屋の大きな窓に取り付けられているカーテンが風もないまま揺らめいた。
「…もしかして……?」
ガーネットは嫌な予感がして、冷や汗をたらす。
途端
「まさかダガーからそんな言葉が聞けるなんてな〜」
愉快そうに聞き慣れた声が飛び出た。
同時にカーテンに手をかけ、黄金の髪をおかしそうに揺らしてジタンが姿を現した。
「ジタン…!? いつから…」
「ずーっと前からダガーの目を盗んで隠れてたんだ」
エーコの横に立ち、ブイサインを送る。
「サンキューなエーコ」
「ま、ジタンの頼みならこのくらいはお安いごようよ」
得意げにブイサインを返すエーコを見てガーネットは
二人が協力をしていたことにようやく気がついた。
「ひど…もう! どういうつもりジタン!?」
*back next#
2/5
しおりを挟む
←novel top