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気がつけば出ていた一言。
言わなければよかったと思うには遅く、しっかりと彼の耳に届いていた。
寝転んだままだったジタンは途端に真顔になって素早く身を起こしガーネットと目を合わせる。

「そんなわけないだろ。 今のは、ダガーにだけだよ」
「…!」

確かにたくさんの女の子と関係を持ったことはあるが全て遊び感覚で、一度もその子達といて落ち着くと思ったことはなかった。

「ダガーだけさ。 隣にいて落ち着く相手は」

歯の浮くような台詞をさらっと、けれど真剣な表情で言うジタンにガーネットは胸が高鳴った。
もしかしたら言い慣れた台詞かもしれない。
他の女の子たちにも同じことを言ってるかもしれない。

―――だけど

「…じゃあ、信じるわ」

この人は決して嘘をつく人ではないから。

「…あはは、なんか照れるなこういうの」

そう言って照れくさそうにするジタン。

「ジタンでも…こういうの照れるの?」

問いかけられたジタンは少し心外そうに口をとがらす。

「当たり前だろ。ダガーに言うのは死ぬほど緊張するんだ」

―――わたしに言うときだけ?

熱く火照った顔をジタンからそっとそらした。
この顔は、見られたくない。
でもなぜかすごく嬉しい気持ちになった。

「…ふふ」
「? どうしたんだよダガー」
「なんでもないわ」
「?」

そう言いながらもまだ少し笑うガーネットを不思議に思いながらもジタンは再び寝転がった。

本当に不思議で。
隣に彼女がいるだけでこんなにも気持ちが軽くなって落ち着ける。




それから

二人はひたすら無言の時を過ごした。

気まずい訳ではない。
ただ、なにも口にしなくても伝わるものがあるから。


だから

ただ君が


隣にいるだけで






Fin


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