「…に、げて……きちゃった…」
肩で息をして苦しそうに両手を膝につくガーネット。
すると彼女ほどではないがやはり息を切らすジタンが片腕を口元にやり愉快げに目を細めた。
「あははっ」
「?」
ガーネットは急に笑い出したジタンに怪訝な顔を向けた。
「いや、くく…随分ダガーも染まってきたなー」
「染まる…?」
首を傾げジタンの言葉に疑問を浮かべる。
「そ! オレ色にっていうの? なかなか大胆になったよ」
にっこりと言うジタンにガーネットはますます眉を潜める。
「……? それって、ほめられてるのかしら? それともけなしてる?」
まだ城を出て数週間しか経っていないガーネットにとってジタンが発するような言葉は聞いたことがない。
ガーネットの何もわかっていない様子にジタンは頭を掻きわかりやすい言葉で説明しようとする。
「え? あーっと、つまりー……つまり? …うーん……」
腕を組んで表情を一転二転させるジタンの様子にガーネットはくすくすと笑った。
「? ダガー?」
「あ、ごめんなさい、つい…ジタンが色々な表情するからおもしろくて」
困ったように眉を曲げたり思いついたとひらめいた顔になっては、すぐまた疑問を浮かべる表情になる。
「ジタンのような人、今まで周りにいなかったわ」
「…それこそ、ほめてんの?」
今度はジタンが訝しげな顔になりガーネットに聞く。
するとガーネットは首を縦に振りあっさりと即答した。
「ほめてるの」
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