訳の分からないことを言うリノアにスコールは額に手を当てる。
「あのね、あのね。 スコールいつも、あんまり構ってくれないでしょ? だから今日はわたしが身を引いてスコールがどういう反応するか確かめてたの!」
へへ、と頬を染めて悪戯に舌を出す。
「まあ、スコールがなんの反応もしてくれなかったらどうしようかと思ったんだけど…でも、スコールちゃんと気にしてくれた! すごい嬉しいよ!!」
スコールは一気に脱力し、眉間に刻んでいた皺を取る。
背中を流れていた冷や汗が引いて緊張がほぐれた。
「…もう、愛想ついたのかと思った」
溜めていた息を一気に吐く。
その様子にリノアは綺麗な双眼を輝かせた。
「わたしに愛想つかれたら……何か問題あったり?」
「…そうかもな」
スコールは再び眉を吊り上げるも、どこか不貞腐れたように見えるのは気のせいだろうか。
「もうこんなことはやめてくれ。 …心臓に悪い」
途端、スコールの胸に半泣きのリノアが飛び込んだ。
「〜〜〜っうれしすぎるよスコール〜!! どうしたのーっ」
彼女を引き離すこともできずとりあえずそのまま棒立ちになっていた。
――本当に、どうしたんだろう
遠慮なく心の内側に入ってくる、鬱陶しいだけの存在だと思っていた。
なのにたった一日笑いかけられないだけでこんなにも不安な気持ちになる。
なぜなのだろう
どうしてなのだろう
『こういうのは気持ちの問題だからね。 頭で考えても余計に混乱するだけだよ』
これも、そうなのだろうか。
考えてもわからないことなのだろうか。
ただ
この胸にかかる心地良い重み
離れたくない
離したくない
たまには
こういうのも、悪くない
Fin
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