![](http://static.nanos.jp/upload/l/loveff/mtr/0/0/20160208142524.png)
バラムの街並みはゆったりとしていて独特の穏やかな雰囲気を持っている。
住民は釣りをしたり、立ち話をしたり、なんとものどかな風景が広がっていた。
「スコール、あの店ちょっと覗いても良い?」
「ああ」
了解を得てリノアは足取り軽く内装もおしゃれなアクセサリーショップの中に入る。
シルバーアクセサリーにはスコールも多少の興味がある為、自ら並べてある商品をじっくり見る。
「あ、見て見て!これすっごい可愛い!」
リノアはスコールを手招きして商品を指差す。
ショーケースの中には、シルバーチェーンに繋がれた白い羽と水色の石。
自分の好みの可愛らしいネックレスを見て気分も上がり、頬が緩む。
「買うか?」
「ううん、あまりお金持ってないから今日は良いかな。また今度…って、スコール?」
言い終わらない内に、スコールはレジの前へと移動していた。
中の店員に向かってこちらの方を指差している―――ということは。
「え、ちょ、」
彼の元に駆け寄るのと同時にこちらへ向かう店員とすれ違う。
「店員さんに何言ったの?」
「何って…あれ、欲しいんだろ?」
「え、ううんだいじょうぶだよ?また今度自分で…」
「3000ギルになりますね」
いつの間に戻って来ていた店員が茶色い小袋にネックレスを包装して愛想良く言う。
スコールは財布からギルを取り出し店員に手渡すとそれと交換に包みを受け取る。
無駄の無い二人のやり取りに呆然としていると、「行くぞ」とスコールに手を引かれ店を後にした。
「ほら」
どこか押し付けるように小袋を渡され、リノアはくすりと微笑む。
スコールが気の利いた言葉を言えないのは百も承知の事。
むしろ照れ隠しの一種とも取れる。
「ありがとう、スコール」
心からの満面の笑みを受けて、スコールは照れたように顔をそらす。
「つけても良い?」
「…俺がやる」
言うとスコールはリノアの後ろに回り、すでにしているネックレスを取り外して新しいネックレスをつける。
立ち並ぶ店のショーウィンドウに反射して映し出された自分の首もとを見てリノアは歓喜の声をあげた。
「かわいい!」
角度を変えてネックレスが反射するのを楽しんだ後、リノアは嬉しげに腕を絡ませてきた。
そんな彼女の様子に、スコールもつられて目を柔らかく細めた。
*back next#
2/6
しおりを挟む
←novel top