01



あなたの笑顔はいつも突然で
「ふぁ〜」
ひとつ、大きな欠伸をする。
僕の組である二年は組は、ちょっとだけ早い終業を迎えた。
その為、委員会活動までにほんの少し余裕が出来、僕は日陰で涼みながら皆を待とうと園庭の木陰へと腰を下ろす。

「ふや〜、日陰は涼しくて気持ちが良いなぁ」
目を細めて樹を見上げれば、木漏れ日がキラキラと輝いた。
「綺麗だなぁ」
ふふふっと、自然に笑みが零れる。
今の時分は小暑を迎えようとしている暦ではあるが、木陰に入れば暑さもある程度は凌げる気温だった。
「お〜、四郎兵衛、日陰ぼっこか?」
そうのんびりとした口調で僕に声を掛けてきたのは、生物委員会委員長の六年は組日向陽先輩だった。

生物委員会と言えば、委員長代理である竹谷先輩の印象が強いけれど、実はこの先輩が本当の委員長さん。
ご家業でお忙しいらしく、委員会活動があまり出来ないから代理を立てていらっしゃるんだって七松先輩から聞いた事があった。
確かにお忙しいのだろうなぁと、その顔を見て思う。
お疲れが溜まっている顔色は血色が薄く、潮江先輩程ではないにしろ、目の下の隈がありありと分かった。

「お〜い四郎兵衛どうした?ぽっかり口開けて。さては俺に見惚れているな?」
日向先輩は、にやっと悪戯を思い付いたような笑みを浮かべて僕の隣に座る。
「はい〜。委員会の皆が来るまで日陰ぼっこしていようと思いまして」
へにゃんと笑って答える。
「わぁーお、見惚れるの下り総無視されちゃった!流石体育委員会の子。去なし方慣れてんなぁ」
あはははっと笑った先輩が僕の頭をぐりんぐりんと撫でまわす。
「ふゃ〜先輩、首がぐるんぐるんします〜」
まるで犬を撫でる様に撫でまわすので、僕の身体が左右に揺れた。
と思うが早いか、突如身体がぐらりと傾ぐ。


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