04
叶うかどうかなんてわからない。
周りから見たら鼻で笑われる絵空事なのかもしれない。
家族を犠牲にしてと、責められるものなのかもしれない。
だけど、でも。
どうしようもない想いだってあるじゃないか。
その中で精一杯の解決策に奔走して足掻いて足掻いて足掻きまくってみたって、罰は当たらないだろ?
(―――一度は自分だけの為の我儘を言ってごらんよ)
そう言った伊作の声。
(―――ご自身を、赦して差し上げれば良いのに)
と、ぽつりと零した孫兵の言葉が脳裏を過る。
「好きだよ、留三郎。お前が許してくれるなら、俺に頑張らせて?」
そう窺うように問うと
「莫迦。“共に頑張ろう”って言え」
と、おでこを小突かれた。
ぶわわわわっと、全身が粟立つ歓喜に包まれる。
幸いだ、幸いだと皮膚が謳った。
愛しい、愛しいと瞳がしゃべった。
その代わりに舌がもつれて、声が詰まった。
「迎えに行くよ、陽」
そう言って震え立つような恭しい口付けをそっと、俺の唇に落として笑んだ。
願わくばそれが、愛でありますように
(―――喩え愚かな願いだと嗤われようとも、二人なら)
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