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「何でお前らモテるのに彼女居ねぇの?マジそのお零れ欲しいんだけど」
片肘をついた手の上に顎を乗せると、ぐるりと目の前の面子を見渡した。

「お零れって…そんな言い方、告白してくれた子に失礼でしょ」
と、雷蔵がぐっと俺の眉間を指で弾いた。
雷蔵はこの様にもの凄く優しい。温厚な性格に温和な笑顔。そこに女子が惹かれるのも良く分かる。しかし何故付き合わないのかと問えば、本人曰く「う〜ん、お付き合いして何すれば良いか迷っちゃうし、今はいいかなぁ」だそうだ。
兵助は言わずもがな美形だし、大層モテる。けれど本人曰く「興味無い」とキッパリ言われた。思春期男子!それで良いのか!
勘右衛門は来るもの拒まずだから凄げぇ数付き合って来たみたいだけど、その分凄げぇ振られているらしい。それでも羨ましいけどな!
三郎は良く気が回るし頭も良い。スマートに物事をこなす様は、守られたい女子には大層人気がある。けど本人、それを煩わしく思っているようで態度が冷たい。ので、彼女は無し。
そんな三郎をそれとなくフォローする鴻は、実直で人の心に機敏だ。物腰柔らかいし、どこで覚えたんだってくらい女子の扱いも上手い。そりゃモテるわ!!
なのに「俺、女の子と付き合うよりお前たちと遊んでる方が好き」って、馬鹿!!照れるわ!!…じゃなくて、小学生か!!
本当に勿体無い面子だ。
あれ?こんなのに囲まれてる俺って、もしかしてちょっと可哀相?一人非モテ系?
何か、自分で言ってて悲しくなってきた…。

「はぁ〜〜〜」
思わず大きな溜息が出ると、鴻がむぎゅっと俺の口にタイ焼き(なのにお好み焼き味)を押しつけた。
「幸せが逃げるぞ」
くつくつと笑った鴻が、そのままタイ焼きを譲ってくれた。
「ところで八、お前はタイ焼きを頭から食べる派か?それとも尻尾からか?」
と突如尋ねてきた。
「はっ?普通頭から行くだろ?」
何の脈絡も無い質問に、素っ頓狂な声で返してしまった。
「ところがだ、尻尾から食べる人だって少なくないんだぞ?“普通”頭からってのは八の思い込み。それと同じで、八は俺たちがモテて八がモテないのが“普通”だって思い込んでるけど、お前が気付いていないだけって事もある。八には八の魅力がちゃんとあるよ。」
にこりと微笑む鴻に、俺はパクパクと口を閉口させた。



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