03




「ははっ、雷蔵の言う通り俺たちが園児で、八左ヱ門が保父さんみたいだな。」
くつくつと喉の奥で笑う鴻に「お前はこの状況を変だと思えよ。発端お前らだぞ!?」と、交互に鴻と私を指差す八が噛み付く。
「悪い悪い。でも、温かいよ。」
そう言ってほっこりと微笑む鴻に、一気に脱力した八が「…しゃーないか。お前らのやる事だしな。」と諦めの色を滲ませた。
「はっちゃんも繋ぐ?」
ふわりと柔和な笑みを浮かべた雷蔵が八に手を差し伸べる。
「お…おぅ。」
直前まで否定していた事を思ってか、少々バツが悪そうに頬を掻くも、八が雷蔵の手を取った。

「朝から何やってんだか…」
と文句を言いつつも、どこか綻び顔の八左ヱ門。
「でも、ちょっと楽しいね。」
ふふっ、と嬉しそうに笑う雷蔵。
「それに、温かい。」
雷蔵の言葉にこくりと頷き付け足す兵助。
「他の人には邪魔だろうけどね〜。」
くるりと周りを見渡す勘右衛門。
「横並びだからなぁ。縦になれないかな?」
そう言って私を見上げる鴻。
「…汽車じゃないんだから、それは却下だ。」
ぎゅっと、より一層力を込めて鴻の手を握る私。


穏やかな朝。平和な世界。
懐かしい匂い。掴めない記憶。
繋がる温もり。ノスタルジーが宿る指先。

ずっとずっと、繋がっていられればいいのに。



君に触れたがる手

(―――先生に注意されて渋々離しはしたが、すぐにまた、鴻に触れたいと想ってしまうんだ。)





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