03




「わ〜、もちもちです〜」「本当、柔らかくて美味しいね。」と、鶴町と猪名寺が至極幸せそうに団子を頬張る。
「蓬の香りがとっても良いね。」「そうですね、それに餡子も甘すぎず美味しいです!」と、三反田と川西も顔を綻ばせた。
「ふふっ、皆とっても喜んでいるね。」
その光景を穏やかに見つめていた善法寺が近江に言う。

「喜んでもらえて、嬉しいです。」
くしゃりと笑った近江先輩が、両隣に座っていた私と伏木蔵の頭を撫でる。
私も嬉しくて先輩を見上げた。
「今度、私たちにもお礼させてくださいね!」
そう私が言うと「その気持ちだけで十分だよ」と近江先輩は一層笑みを深くした。
その様子を見て、善法寺先輩が近江先輩の頭を一つ撫でた。



泣いているのかと思いました

(―――そう見えるほど、近江先輩は幸せそうに微笑んでいました。)






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