02




「美味しそうです〜」
ふにゃりと笑む鶴町がお団子に吸い込まれるようにしていると
「こら、先に手を洗え。」
と、二年い組の川西左近先輩に諌められた。
「は〜い!」「はい〜」と、私と伏木蔵が返事をして手洗い場へ向かうと「よし。」と、川西先輩が満足そうに頷いた。

かちゃかちゃと、三反田先輩と川西先輩がお茶の準備をして下さる音をさせ、私と伏木蔵のじゃぶじゃぶと手を洗う音に紛れて、かさりと善法寺先輩が包みを広げて取りやすいようにして下さっている音が溶けていった。

ガラリ。

不意に加えられた戸の開く音に顔を上げると、買って来て下さった張本人である近江鴻先輩が立っていた。
「おっ、皆悪かったな。当番でもないのに集まってもらっちゃって。」
お茶の継ぎ湯を持って苦笑していた。

「何を言っているんだい。僕たちこそわざわざ買って来てもらっちゃって悪かったね。ありがとう。」
ふふっ、と善法寺が微笑む。
「とても嬉しいです!」
「本当にありがとうございます!」
三反田と川西が続く。
「僕、お団子大好きです〜」
と鶴町が近江の足元に抱きつく。
「私もです!」
猪名寺も駆け寄った。

「じゃぁ皆、美味しく頂こうね。」
と善法寺が促し、三反田と川西がお茶を並べた。
鶴町と猪名寺は近江の腕を引いて腰を下ろす。

「「「「「頂きます!」」」」」

元気な声が保健室に響いた。

「召し上がれ。」
少し照れくさそうな近江が答える。



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