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恐怖に襲われても、きっと助けに来ないと誓って

今日の授業は実技演習だ。
半日使っての密書の死守又は奪還。
今までの演習のようなペア(または班)での、他班の密書を奪還していくものや、誰と知らされないまま始まる、腹の探り合い騙し合いの増やし鬼でもない。

一組だけ作る二人ペア 対 その他全員 という構図で始められる。

感覚的な話をすれば、先程話した前者の状況に似ている。
自分たちペア(または班) 対 敵のペア(または班)の構図。
しかし、それはあくまで周りも自分たちと同じ人数のペア(または班)で相手する為、応戦が被った場合や共闘されても、精々数ペア被るくらいだ。その間にも、そこかしこで別のペア同士がやり合っているという状況。
だけど今回は違う。

自分たち一組 対 全員。
これは密書を奪還した際に追忍に追われているという状況を模したものらしい。
鬼ごっことも違い、誰が鬼か分からないから全員を疑って探るのではなく、“奪い返す相手はこいつらだ”と初めから明確にされている。なので、全員から総攻撃に合う羽目になるというのも明白だった。

…考えただけで恐えぇぇぇ!!!
運悪く、今回その二人組の内の一人に選ばれてしまった俺は、これから起こる状況に身震いした。
「大丈夫か?八。」
俺ともう一人選ばれた鴻が心配そうに顔を覗き込んできた。
そうだ、俺のペアはこいつなんだ。
それだけで何だか心強く思えた。

「お…おぅ。でも、正直竦みそうだ。暗器使用可・罠可。ただし、死に至らないものとか使用許可範囲広いし、半日って長いし、全員敵だし!三郎が鴻に変装したらと思うとやべぇし、雷蔵に体術に持ってかれたらやべぇし、兵助と勘右衛門に頭脳戦に持ってかれたらやべぇし!!」
情けない事に「やべぇ」しか言えねぇ、俺。
本当はめっちゃくちゃに恐い!!!

「大丈夫、お前には多くの眼があるじゃないか。」


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