02




「「「「老夫婦かッ!!」」」」
思わず前方の四人が突っ込んだ。






「勘、この色とかどうだ?勘は色が白い方だから薄桃色が似合いそう。」
近江は手にした小貝の入れ物を尾浜に差し出す。
「あっ、良い色だね。柔らかい桃色。」
ゆるりと目元を綻ばせ、尾浜が嬉しそうにそれを受け取る。

「なぁ鴻、俺は?この頬紅はどうかな?」
竹谷が近江に、手に持った頬紅を見せる。
「八は蜜柑色の方が合うと思うよ。肌の色がそっちに近いし、顔がキリッとしているからね。」
ほら、こっちのとか、と頬紅の並べられた一部を差す。
「八の顔で真紅色寄りの頬紅は…おかちめんこだな。化粧下手だし。」
鉢屋がぐさりと言い放ち「「「ぶふぅっ!!!」」」と、思わず近江以外の三人が想像して吹き出した。
「うっせーよ!」と、竹谷がガシガシと照れたように後ろ頭を掻く。

「化粧が下手なのは、はっちゃんだけじゃないけどね。」
ふふっ、と不破が笑う。
「加減が難しい。」
むぅっと久々知は眉間に皺を寄せ「鉢屋と鴻は上手いけどね〜」と尾浜が二人を見遣る。
「当然だ。」
けろりと肯定する鉢屋。
「ははっ、ありがとう。」
と笑う近江。
「あっ、俺、この紅買って行こうかな。綺麗な色だ。」
近江が深い椿色の紅を手に取る。
「鴻に似合いそうだな。」
近江の手元を覗いて久々知が頷く。



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