02




「誰に当たるかどころの話ではなくて、何年に当たるか、という所から悩みの種になるんだな…。」
はぁ。と久々知が溜息を吐いて目頭をぎゅっと揉んでほぐす。
「明後日が実習っていう鴻は、何年が相手なのかもう分かってるのか?」
鉢屋が近江に向き直る。

「うん、学年も名前も聞かされているよ。」
「何年?やっぱ経験値的に六年?」
竹谷が悪戯に下卑た物言いをする。
ぴくりと鉢屋の眉が動く。
「ざ〜んね〜ん。四年生だよ。」
ははっ、と笑って近江が答える。

「お初の子の相手なんだ〜。」
と不破が何となしに言えば
「そういえば色の実習に対する鴻の評判って良いみたいだよね、この前の実習相手の先輩も言ってたけど、くノたま内では優しく丁寧で当たった人が羨ましいって噂されているらしいよ?」
ぽんぽん、と近江の肩を叩く尾浜。
「うぉ〜〜〜やっぱり経験豊富な奴は余裕があるんだな〜!!羨ましい!」
竹谷がガシガシと頭を掻き「僕にも分けて欲しい…その余裕。」と不破が苦笑する。

「いやいや待て待て。別に経験豊富なわけでは無いから。そもそも俺、反応あんま無いから切羽詰らないってだけで。そこが余裕があると思われるのかな?そこを言われれば確かに…丁寧に対処が出来ている…の、かな?」
いまいち自分の評価にピンと来ていない近江が首を捻る。
「俺も聞いたことある。くノたま側の技巧実践演習を冷静に優先させてくれるから丁寧だって。」
「男は理性が飛んじゃう時あるもんな〜。いや、駄目なんだけど!でも相手が巧かったらキツイよな。悲しい性だな〜」
久々知が尾浜の話に便乗し、竹谷が久々知の話に便乗し、わざとらしく深刻そうな顔で腕を組む。

「…んっ?これって故意に流してるの?それとも問うても良いの?」
尾浜がおずおずと周りを窺う。
「何が?」
不破が尾浜を見る。
「…反応が、ってやつか?」
鉢屋が、言わんとしていることを拾う。
「そう。どういう事?もしかして…?」
尾浜がチラリと近江を見る。



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