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上手くいかないから、現世(うつしよ)なんです

「たまにはこういう話を赤裸々にしてみるのも面白いもんだな!」
にかっと眩しいくらいの笑顔で竹谷が笑う。
結局予習復習なんてそっちのけで、実習の話で盛り上がっていた。

「四年の時から少しずつ閨以外の色に関する実習が組み込まれて来たとはいえ、閨だけの実習って二度目だから緊張するよね…」
「それに限らず房中術に関係する実習は慣れるものじゃないしな。心臓に悪い。今回はどんな内容なんだろう…」
不破が憂鬱そうに、そして久々知が硬い表情で零す。
「相手の学年によって内容が違うみたいだしね。」
それに混ざって尾浜が追い打ちをかける。
「しかも、今回は四年の時と違って先導されるがままでいて良いわけじゃないからね。頑張らないとだよ、色々。」
実習が終わったという尾浜がにやりと意味深な笑みを浮かべる。
「なにそれ!どういう事!?何が起こったんだ!?」
「えぇ〜、何か…胃が痛くなりそう。」
「男の沽券に関わりそうな言い方だな…」
尾浜の言葉に過剰反応を起こす竹谷、色々と頭を駆け巡ったのか“う〜ん”と悩み出した不破、気にする所が若干ズレている久々知が唸る。

「勘右衛門は何年生が相手だったんだ?」
と鉢屋が問えば「六年生だったよ。条件付きの。」と、またもや意味深な回答が返ってきた。

「条件?」
きょとんと不破が小首を傾げる。
「今回はこちら側の年齢が上がったから難易度も上がったみたいで。内容そのものは言えない事になっているけど、一筋縄ではいかないよ〜。まぁ、今までもくノたまの房中術の技巧を試す為に実習が組み込まれてたりはしてきたけど、その時みたいに奉仕してもらえば良いってもんじゃないからね、今回は。」
と苦笑を浮かべた。


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