04




「俺は当時の好き合ってた子と、実習期間に入る前に遂げました〜」
ふふん、と少し胸を張って答える尾浜。
「本当かよ〜〜〜!!大人じゃ〜ん!!!」
「どこが無欲そうだよ!ちゃっかりしてるじゃないか!」
と、どこか悔しそうにのた打ち回る竹谷と叫ぶ鉢屋。
そして尊敬を含む眼差しを向ける久々知。

「ぼ…僕は実習が最初だったよ…。」
顔を真っ赤にした不破が消え入りそうな声で答える。
「可愛いなぁ雷蔵は。顔が赤い。」
からかうように近江が言えば「もう!よしてよ!」と不破は手で顔を覆って背けてしまった。
「本当に可愛いな〜雷蔵。ら〜いぞう?」
鉢屋も不破に近づき、背けた頬をツンツンとつつく。

「ほらっ、僕の番は終わり!そういう三郎はどうだったの?」
手で顔を扇ぎながら、潤んだ瞳で鉢屋をねめつける。
「私は町で。たまたま茶屋で声掛けられて、なんとなく流れで。」
一瞬静まり返る室内。

「はぁ〜〜〜〜〜!!???何それ、どういう事だよ!!」
歯を剥きだした竹谷が吠える。
「行きずりってやつ?」
久々知が“うぅ〜ん”と唸る。
「やるね〜鉢屋。」
どこか楽しそうな尾浜。
「…まさか、僕の顔じゃないよね!?」
蒼白な不破。

「まさか!そこまで非道じゃないよ私は。その日最初にすれ違った町の知らない人の顔だよ。」
むっとした表情の鉢屋が答える。
「雷蔵の顔での悪戯は学園内だけに留めているよ。」
そう付け足せば
「学園内でも人様の迷惑になるような悪戯はダメ。絶対ダメ。僕の顔でなんて言語道断。…次やらかしたら、分かるよね?」
優しく言い包めるように、けれど目は全く笑っていない笑顔で不破が詰め寄る。
「…は、はい。」
おずおずと鉢屋が頷いた。



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