06




それを聞いた瞬間、僕はかぁぁぁっと顔に熱が集まるのを感じた。
「鴻!!それって、僕の好いように解釈していいの!?」
ガバッ!!っと思わず抱きしめて叫んだ。
「…ッ。せんぱ、苦し…。」
もぞりと鴻が動く。
「駄目、今離してやれない!お願い、聞かせて?僕は想いが届いたと思っていいの!?」
縋るように、その頬に己の頬を擦り寄せた。
すると、消え入るような微かな声で


「は…はい。」


と、恥ずかしそうに答える声が聞こえた。



涙が溢れた。
あの時の鴻の様子から、僕は断られるだろうと思っていたから。
だけど、戸惑いながらも応えてくれた。
僕を、受け入れてくれたんだ。
そう実感したら、嬉しくて嬉しくて、頭が変になってしまいそうだった。

「鴻、鴻、本当なんだね?これは好い返事なんだって信じるからね!?」
鴻の首筋に顔を埋めてすすり泣く僕を、鴻が優しくぽんぽんと背を撫でてくれた。
そうして、「はい…。」と至極穏やかな鴻の肯定の声が振ってきた。

ぎゅうぅぅぅぅっと腕に力を込めてもう一度抱きしめた。
そしてゆっくりと身体を起こし、鴻と向き合う。
「…鴻、口付けをしても、良い?」
乞うような、伺うような僕の様子。
鴻は、ぱちぱちと数度瞳を瞬かせて「…はい。」と小さな声で答えた。

―――ちゅっ。

一瞬唇を重ねるだけの、口付けを施す。
ゆっくりと唇を離して様子を窺ってみたら、鴻は照れたように微笑んだ。


胸がじんわりと温かくなった。
次々に溢れ出てくる幸福感と、愛おしい気持ち。
そして、もっともっとという欲張りな想いまで溢れ返った。


「鴻、好きだよ、大好き。もう一度…」
そう言って再び唇を重ねた。


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