04




「あんなに必死で止めてくれたお前たちに、会えなくなっちゃうって…思って。だから…俺、生きたいよ。」
堪らず鴻の瞳から涙が零れた。
「お前たちに誇れる俺でありたい…。いつかその時が来るまで…父さんの分も、生きたい…よ。」
ひくり、と引き攣る声で、けれどしっかりとした意志で、そう教えてくれた。


あぁ、もう何も考えられなくなった。
ただただ生きたいと願い、生きて帰って来てくれたその事実に咽び泣いた。
そうして静かに涙を流す鴻をぎゅぅぅぅっと抱きしめたら、兵助や雷蔵、勘右衛門、八左ヱ門もぎゅうぎゅうと抱きしめてきた。

ぎゅうぎゅうひしめき合って、わぁわぁと泣く私たちを、先輩たちが囲む様に抱き締めてくれた。
頭上や頬、肩や背と、至るところに落ちてくる涙の雨には、気付かない振りをする事にした。

私たちを抱く手が震えている。
その事実が堪らなく愛おしかった。
時折洩れ聞こえる嗚咽に、また泣けた。
そして、
「苦しいよ」って笑うお前の泣き顔に
どうしようもなく涙が溢れた。





絶望を奇跡にかえて

(―――お帰り。お帰りなさい。鴻。)





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