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俺が忍術学園に入り、その情報網をもって得た真実。それに驚愕した。
それと同時に、実父は俺を想ってこの事実を伏せ、抜け忍としての追跡だと思い込ませていたのであろうと思い至って敬仰した。

それからの俺は、忍務を遂行していく中で、じわりじわりとあの男の懐に入る機会を窺い、長い歳月を掛けて懐柔していった。
あの男は、俺があの時の子どもだと気付きもせずに、呑気に迎え入れた。
それについては、何の感慨もなかった。元々幼少期に愛着などなかったからだ。
それほど関心も愛情も無く、会う事もままならないような間柄だった。

父とされていたあの男やその両親、実母の両親に至っては、如何に頂点へ行くかという武力的な話し、欲に目が眩んで金の話ばかりに夢中だった。
その為、それらに目もくれずにいた実母や実父と城内で過ごす事の方が多く、そちらの方がずっと、俺にとっては大切な思い出も深く多い。

そんな様子からか、薄々気付いていたらしいあの男は、実父たちの逃亡をきっかけに確信し怒り狂い、没落時に乗じて敵城に寝返ったと言う。
自身の親を棄て、妻の両親たちをも見殺しにして生き延びたと、酒の席で悪びれも無く言い放った時があった。
その後、今や養子縁組をし、その城の城主とまで成り上がったあの男は、当時母の存在隠蔽に乗じて実父を殺すよう敵城城主に働きかけ、殺させたという事だった。


そう
実父を殺すよう仕向けたのは、父とされていたあの男。


あの男に別段思い入れも無いけれど、それでも“親子だった”人間に長年命を狙われ、実父を殺され、そして俺自身ですら、あの男を手に掛けようなどと…なんと皮肉な事なのだろう。


それでも、俺には成し遂げたい事がある。



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