シュウ⇔ヒロイン←レイジな感じです。 苦手な方はプラウザバックお願いします。 彼女を見つけたのは私が先でした。艶やかな闇夜に溶けるような黒髪と美しい琥珀色の瞳を持った、少し控えめな少女。 なのに、彼女が愛したのは私ではなく、あの憎き穀潰し…シュウでした。 怠惰を体現したようなあの男を好きになったとて、相手にするはずがない…そう思っていましたが、控えめな優しさを持つさやかにあの男は興味を示してしまったのです。 「あのねレイジさん。シュウさんがね…」 頬を赤らめ嬉しそうにあの男の名前を口にする。愛おしさを含んだその声で呼ぶのはどうして私の名前じゃないのですか? 「さやか、こっちに来い。」 「うん!またね、レイジさん。」 気怠く彼女の名前を穀潰しが呼べば、花の咲くような笑顔でそちらへ向かってゆく彼女の姿を私は見送ることしかできない。 どうして…どうして! いつもアイツは私の欲しいモノを横から奪っていくんだ! 完璧な私ではなく、なぜあの穀潰しにその愛情が向けられるのか理解に苦しみます。そんな女と割り切れれば楽なのに、ヴァンパイアとは言えそう簡単に心は切り替えれないものなのか、そんな自分に苦笑を覚えました。 ********* 「おまえさ、さやかのこと好きなんだろ?」 珍しくあの男の方から話しかけて来たかと思えば、私の心の奥底にある確信をつく発言。 「…まぁどうでもいいけど。アイツは俺の女だから、間違っても手を出そうとか思うなよ。」 無言を貫く私に向けられる敵意のこもった視線。 あの男がそんな目を出来るとはおもってませんでした。 「私はその様な下種な考えは持ち合わせてません。」 「…ならいいけど。」 もうすぐアイツがここに来るから、来たら俺の部屋に通してやって。 使用人にそう告げ、あの男は自室へと帰ってゆく。 そうですか…もうすぐ彼女が… それから、数十分後呼び鈴の音と共に現れた彼女。 「こんばんわ。えっと…「シュウに呼ばれたんですよね?聞いてます。こちらへどうぞ。」 ありがとうございます。と、小さく頭を下げ微笑む彼女を手招きすると従順に私の後ろをついてくる。 「こちらへどうぞ。」 招いた部屋は、シュウの部屋ではなく私の部屋。 彼女に気づかれないようそっと鍵を閉める。 「えっ…?」 戸惑う彼女の両腕を掴み壁に押し付ける。 「気付きませんでしたか?…私もあなたのことを愛してるんです。…シュウに夢中で気づきませんでしたか?まぁ、いいです。過ぎたことですから。」 「ごめんなさい…私…」 「それ以上、喋らなくて結構です。」 睨みつけると、ヒィと短い悲鳴をあげ怯えた視線をこちらへ向けてくる。 「動かないで下さい。…すぐに済みますから。」 ガタガタと震える彼女のワンピースの肩口を強引に引き裂く。現れた白い肌に残る数カ所の傷痕。 忌々しいあの男…私が消して差し上げます。 「…痛いっ!」 同じ場所に牙を突き立て彼女の血を啜る。口に広がる味が彼女の味。本来なら私だけが味わうモノだったのに! 「やめて下さい!それ以上は…」 虚ろな表情で涙をポロポロ零すさやかはひどく美しい。もっと奥まで、シュウよりも深く。 「やだぁ…」 悲鳴混じりの声をあげる彼女の身体から力が抜ける。どうやら限界のようですね。 青白い顔には、幾筋かの涙の跡。 「これからは私以外にあなたが会うことはありませんから。」 avaritia 狂気と次に瞳を開いたあなたが目にするのは絶望の世界。 強欲な私の作り上げる楽園の唯一の住人になれることを光栄に思って下さい。 |