QLOOKアクセス解析西のペテン師少女! | ナノ

01

「蔵、どうしよう! なんか知らないとこから招待状来た!」

部活中にケータイが鳴ったと思えば彩夏からの電話で、電話に出るなりいきなりさっきの言葉。
は…? え、ちょい待ち、それアカンやつや。絶対ストーカーやん!?
そりゃ彩夏は贔屓目抜きでかわいいと思うし、あれだけ特集を組まれてたらストーカーがおってもおかしくないやろうけど…。
現に家のポストにストーカーからの手紙が入っていたり、学校からの帰り道に声かけられたことあるとか言っとったし……。
このご時勢住所を特定するのなんか簡単やし、ストーカーしとる奴らに限って住所特定のスキルが無駄にそなわっとったりするし、これはアカン。
きっとその招待状は、彩夏を騙すために偽装された招待状なんや。招待状にある場所に行ったら最後、彩夏は行方不明になってまう……!
これって監禁になるんか誘拐になるんかどうなんやろう? まあどっちにしろ犯罪であることに変わりはないんやけど、誘拐やったら身代金要求されるんやろう。
身代金を要求されたら彩夏のおばさんとおじさんやったら、すぐに出すやろう。犯人はそれが狙いなんか!? なんちゅう凶悪犯や……!
焦りすぎてよう分からん想像をして返答出来んかったら、電話の向こうで彩夏が何かに気付いたらしく、あっと小さく声をあげた。

「蔵、これ赤紙だ」
「え、いつの時代の話なん?」
「現代日本」

……せやけども。これで昭和とか言われたらそれはそれで問題やけども。
やけどいきなり赤紙なんて言われてつっこまへん奴どこにおるん? つっこまずにいられるわけないやん。俺四天宝寺の生徒やで? ボケにはツッコミ。それが身に染み付いてるんやから、しゃあないやん? やのになんでツッコミ殺しされてんの?
瞬間的に切り返されたもんやから黙るしかあらへん。さっきの切り返しの速さは謙也もびっくりやで。今の切り返しの速さ、謙也にも聞かせたかったわ。多分自分より速い返しやから勝手にライバル認定するんやろうけど。
少しの沈黙があって、再び彩夏が電話の向こうで口を開く。

「蔵、これ赤紙じゃなかったよ。なんかね、テニスの選抜の招待状みたい。女子は私だけみたいだよ」
「なんやて!? そんなん許さへんで! 彩夏は高校でテニス部に入って全国に行くんでええやろ!? 男ばっかな合宿、俺が許さん!」
「えー。でももう承諾のメール送っちゃったよ、パソコンでちょっと遅かったね」
「ああああああ! この馬鹿彩夏!」
「なんすか部長、彩夏さんと電話してるんすか? 電話かしてください」
「ちょ、貸すとも言ってへんのに電話奪わんとって!」

財前に講義するが、財前は俺の講義を無視しとる。……部長を無視するやなんて、こいつはホンマにここの部員か! もう少し敬わんかい……!
もしもし彩夏さん、お元気ですか財前です。くそ……、俺をガン無視しとる……! かすかに聞こえる彩夏の声はいつも通り明るくて、光君? 私元気だよー、光君こそ元気ー? という能天気な会話が聞こえる。
あああああ、なんで彩夏はそんなに能天気に会話しとるん……!こっちは彩夏の身に何か起こったらどないしょうかずっと考えとるのに……!
いつ大阪にきはるんですか? 財前、今それどころやない! 合宿と偽られた呼び出しを止めるんが先や! 止めたら善哉おごったるから……!
そういうも財前は俺を無視し続ける。あれ、俺なんでこんなに無視されてるん? こういういじめなん? え、これいじめなん?
いろんなことで混乱する俺を放置して、財前と彩夏は話し続ける。あ、料金大丈夫やろか。

 

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