QLOOKアクセス解析西のペテン師少女! | ナノ

00

大阪に程近い兵庫に彼女は住んどる。彼女は俺の親戚で、一つ年上。
でもそれを感じさせないぐらい、俺と彼女は仲がええ。
もう少し彼女について言うなら、全国的にも有名なプレイヤーっちゅうことか。
プレイヤーと言っても、俺の専門外のスポーツやけど。
才能に恵まれ、その上努力を惜しまない彼女が有名になるんは、当たり前といえば当たり前なんやけどな。

「やあ、蔵。暇してるの?」
「そんな訳あるかいな。今日来たんはな、彩夏にテニスを教えるためや!」
「おー、テニスか! 一回やってみたかったんだよねー! サッカーも飽きたしね、皆弱いもん」

あっさり言いのけた彼女――三林彩夏こそ、俺の自慢の親戚。
そして、日本一のサッカープレイヤー。なんでも、帝国学園とかいう金持ちの名門倒したらしい。
まあそれは数ヶ月前の話やねんけど、今でも彩夏は色々なところで特集を組まれたりして、文字通り引っ張りだこや。お金もらえるなら特集組まれるのも悪くないね、と彩夏は楽しそうに笑った。何というか、関西人やなあと思う瞬間やった。
特集を組まれ始めた時はめっちゃすごいやん、と親戚中の騒ぎになったけど、今となってはまた特集か飽きへんなあ、程度の認識になってしもうた。まあええんやけど。俺もたまに特集組まれたりするし、その度に騒がれとったらかなわんしな。
男子の公式戦にも関わらず彩夏は当たり前のように試合に出る。公式戦は女子の大会でない限り、男しか出られへん。彩夏はそれが不服らしい。なんでも女子は試合をしとっても楽しくないんやそうや。……まあ、俺がいろいろ教えて俺が相手しとったからしゃあないちゃしゃないんやけど。
彩夏が公式戦に出てもバレへんのは彩夏の特技があるからや、イリュージョンっちゅう便利な、な。

「ほな始めよか、彩夏」
「おうよ! 早く試合できるまで上手くなりたい!」
「彩夏なら大丈夫や、絶対」

俺の言うたことはお世辞やない。
サッカーだって僅か一ヶ月練習しただけでレギュラーを勝ち取り日本一や。初心者が一ヶ月練習しただけで日本一って、ホンマデタラメやとは思うけど事実なわけで。
彩夏はスポーツの神に愛されてるんやないやろうか。俺は常にそう思うんやけど、本人はいつも否定する。そんなわけないじゃん、私ちゃんと練習して実力付けてるもん。……否定はできへんけども。
一度習得したら絶対忘れへん。それが彩夏の急激な成長の理由。おっそろしい才能もっとるくせに、彩夏は才能やないと言い張る。あくまで覚えがいいだけやと。確かにどの世界にも覚えの早い選手はおるけど、彩夏のはそんなレベルやない。ホンマに才能としか言いようがない早さやでこれは。
やからテニスやってすぐに上手くなって俺を抜くはずや。聖書がものの数ヶ月…、いや数週間で抜かれるなんてな。まあしゃあないんやけど。彩夏にスポーツを教えるちゅうことはそういうことや。
そうなったら、今度は逆に俺が彩夏にテニス習わなあかんわ。
内心そう思いながらテニスの基礎を教える。彩夏はこくこくと頷きながら技術を我が物にしていく。ホンマに吸収の早い奴やな。

その一年後、彩夏は俺と共に選抜に呼ばれる事になる。


 

back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -