QLOOKアクセス解析days of betrayal | ナノ
scene:洛山
《一回目のミッションは簡単だよー。ウイルスをもった人達から逃げるだけー。一時間逃げ切ったら君たちの勝ちー。ミッション成功の場合には特別な武器を与えるよー。ルールはそれだけ、簡単だから追加説明はいらないよねー? はい、ミッションスタートー》

またやる気のない、機械を思わせる都城の放送が流れた。
先程の放送とは違い、ミッションの内容を知らせるそれに、洛山は興味無さそうな表情をしていた。

「もう少し面白いものかと思ったが、そうではないのか。期待外れだな」
「んもう、最初から難しかったらやる気がなくなるでしょ! 徐々に難しくなるのよ!」
「そうだといいけどね」

期待などしていないような表情で、赤司は嗤う。彼からすれば、こんなゲームなど面白くもなんともないのだろう。
聡明であればあるほど面白くなくなる。予想通りに進むゲームなど、彼にとっては当たり前過ぎて、ため息すら出ない。
彼の賢さを知っている洛山のメンバーは、赤司の思考が読めて苦笑しか浮かばなかった。
だが実渕からしても、このゲームはあまりにありきたり過ぎて面白くなかった。
ルールを聞く限り、誰がゲームマスターであってもおかしくはない。
が、ゲームマスターに死亡判定をつけるか、ウイルスをうつせばその時点でゲームはプレイヤーの勝ちなのだ。
どうにもならなくなったら、自分を含めた全員に死亡判定をつければいい。
プレイヤーの中にゲームマスターがいれば、死亡判定がついた時点でゲームマスターの負け。
簡単な話なのだ。推理などしなくても、このゲームに勝つことは。
下手な鉄砲数うちゃ当たる。まさにそれだ。
実渕はそれが分かっている。けれど実行に移そうは思わない。
やるまえに赤司がゲームマスターを当ててしまうだろうし、もし仮に当てなかったとしてもそんなナンセンスなことはしたくない。
おそらくそれは葉山も同じだろう。洛山でやるとしたら、根武谷ぐらいなものか。彼ならナンセンスだ、などと気にしないだろうから。
そんなことを考えつつも、実渕は辺りを見回した。
おそらく、このミッションのウイルスを持っている人は、さっに呼び出されていた四人。
洛山から誰も呼び出されていないということは、それだけ洛山は狙われる可能性があるということ。
いくら本当に死なないと言っても、ゲーム上では死んだことになるのだ。あまりいい気はしない。
実渕は傍観者でいたいと思っていた。あまり干渉せず、だが流れだけは掴みたい。
傍観者になるには、こんな序盤で死ぬわけにはいかないのだ。

「とりあえず、どこか隠れられる場所へ移動しましょうよ」
「それがいいかもねー! 身長高いし目立っちゃうもんねー」
「いや、やめたほうがいい。隠れられる場所は、自分の首を絞めることになる。戦える場所が最適だ」

赤司の言葉は一理ある。隠れられる、ということは、逃げ道が少ないということとほぼ等しい。
故に隠れても、絶対的に安全というわけではないのだ。
それよりかは、赤司が言ったように戦える場所のほうが、逃げ道もあり、敵を打ち負かすこともできる。
そんな場所の方が、生存確率は格段に高い。どちらをとるか聞かれれば、間違いなく後者をとるだろう。
考えてみて納得した二人に、根武谷が不思議そうに問う。

「いやなんで隠れねえの? 隠れた方が見つかることはすくねえだろ」
「隠れるってことはさ、自分から逃げ道を捨てることと一緒じゃん。俺達体おっきいからなおさらそうなるし」
「そうよ。とにかく納得してなくても行くわよ! 理由なら食事の時にでもじっくり説明してあげるから!」

実渕にそう言われ、根武谷は納得しないまま、赤司の後に続く。
その後ろに葉山、実渕の順で動く列は、奇跡的に他校にも、ウイルスを持った人物にも会うことなく、南館三階の一年三組の教室に到着した。
ここも逃げ道が多いわけではない。彼らが使える逃げ道は、下の階へ降りる階段と、本館と北館とを結ぶ長いが狭い渡り廊下のみ。
明らかに場所のチョイスミスだと思われるが、それは赤司の計算内に組み込まれた、勝つためのチョイスだった。

「全てに勝つ僕は、全て正しい。故にこのゲームも僕が勝たせてもらうよ。少しでも怪しいと思ったらすぐに死亡判定出させるから、そのつもりでいてくれ」

水鉄砲を弄りながら言った彼に、他三人が呆れ半分で頷いた。
有言実行な彼のことだ、チームメイトであれども容赦なく撃つだろう。
味方にいる分には心強いけれど、敵にいると厄介な人。
ドアにもたれながら、実渕は赤司を睨んでいた。
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