QLOOKアクセス解析days of betrayal | ナノ
scene:桐皇
《誠凛の日向くんー、海常の笠松くんー、陽泉の福井くんー、霧崎第一の瀬戸くんー。放送室前に来るようにー。全員が揃い次第、ミッションを発表するよー》

なんともやる気の無い、機械を思わせる放送の後、桃井が眉を寄せた。

「呼び出し…? 全員に共通点はないみたいだけど…」
「揃い次第ミッション発表、なあ…。多分さっき呼び出された四人が、ミッションに関わるんやろうな」
「だとしたら、桐皇は呼び出しがないので、少し有利ですね。ミッションの内容にもよりますけど、人数的には不利になることはないでしょう」
「せやな。とりあえず今んとこは様子見やな」

桃井と今吉の会話に、青峰を除く二人が頷いた。
青峰はというと、つまらないとでもいうように、大きなあくびをしていた。
それも仕方ないかもしれない。彼は気が乗らないにしても、バスケをしにきたのだから、こんなゲームに強制参加させられるのは退屈極まりないだろう。
それに、青峰ほどの身体能力があれば、このゲームなど脅威ではないのだろう。
だが青峰は忘れている。このゲームのメインは頭脳戦。いくら身体能力が優れていようが、ゲームマスターが分からなければ意味はないのだ。

「青峰! お前真面目にやれ!」
「あー、命かかりゃ真面目にやるけどよー…」
「いちいちイラつく野郎だな! 今吉さん、こいつどうにかしてください!」
「今からは無理ちゃう? コイツどうあがいても、これより進歩せえへんやろ」
「っつーことで」

あくびの涙が若干滲む目で、青峰は気だるそうに片手をあげた。
その行動が若松の怒りを煽り、また若松の怒鳴り声が響く。
いつもと変わらない部活風景のように錯覚してしまうが、ゲームは始まったばかり。
あまりに危機感のない部員たちに、今吉の口からはため息がもれるばかり。

「あんなあ…。今ゲーム中やで? いくらまだ安心やとは言っても、もうちょい危機感もったらどうなん? 桜井を見習い」
「えっ、ぼ、僕ですか…!? す、スイマセンスイマセン!」
「…今ののどこに謝る要素あるん…」
「え、その、スイマセン!」
「はあ…、桜井もアカンな…」

軽く頭をかかえ、今吉はなんとも複雑そうな表情で呟いた。
チーム力的には強いはずなのに、どうしてこう個人的に見ると問題がありすぎるのだろう。
今のところ、怪しい人物はいない。…と今吉は思っている。
恐らくそれは他の部員たちも同じだろう。
隠し事が出来るような人間じゃないのだ、桐皇は。
桃井と今吉は別とするが、その他の部員は嘘をつくのが極端に下手なのだから。
人を欺くこのゲームにおいて、嘘をつくのが下手というのは、白か黒かを見極めるのにおおいに役立つ。
その観点からおいて、桐皇はまずゲームマスターがいないという結論を今吉は弾きだしたのだ。
まあ、今の段階での話のため、後々その結論が変わる可能性はあるが。

「桜井、ちょっと聞きたいんやけどな、さっきの呼び出しどう思う?」
「え、あ、その、これって鬼ごっこの要素が入ってますよね…? なので最初の鬼に選ばれたんじゃないかなと…あああ、そのスイマセン!」
「やからなんでそこで謝るんよ…」

呆れたように言った今吉だったが、彼の顔は一瞬歪んだ。
あまりに短い間だったため、気付いた人はいなかったが、確かに彼の顔は歪んだ。
何に対して彼の顔が歪んだのかは分からないが、桐皇にも不穏な空気が流れ始めたようだ。
それに彼らが気づくかは、神のみぞ知る。
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -