QLOOKアクセス解析その悪魔、祓います。 | ナノ
日本の学校に無事入学した私。バチカンを離れるときのパパの取り乱した姿は忘れたい。
だっていい歳した大人が「瑠依ー! 瑠依ー! 行かないでー!」とか空港で叫んでるんだよ? 恥さらしにもほどがある。あのときほどパパを他人だと思いたかったときはない。
でも今日からはパパを気にしなくていい。ママと六年間は日本で暮らすことになるから、その間は平和に暮らせそう。お仕事が私にもきたらそういうわけにもいかないだろうけど。
入学式を終えて、現在ホームルーム教室にいるんだけど、この教室カオス過ぎる。日本に来て早々バチカンに帰りたくなった。
まず香水のにおいが混ざりに混ざり合って、すっごい悪臭になってる。悪臭元はある一点に群がるケバい女の子達。日本人って真面目っていうイメージあったけど、入学初日に一瞬で崩壊したよ。日本人ってフリーダム。
そしてその中心にイケメンに分類されるであろう男子が座ってる。私のタイプじゃない。私、女の子侍らせてる男って大嫌いなんだよね。どうせすぐに飽きて捨てるんだろうし。男は誠意を見せないと、誠意を。
で、それにくわえて黒板に貼ってある座席表見たら、その男子の隣の席っていうね、なにこれ、新手のイジメ? ふざけんな。
私が今まで祓ってきた悪魔の恨みだとしたら、長期休暇にバチカンに帰ったときにでもいたぶりながら祓ってやる。俗に言う八つ当たりってやつだね、悪魔に慈悲なんてものないよ。
悪臭に頭痛がしてくるのを感じながら、私は自分の席についた。近づくと更ににおいが強烈で吐き気までしてきた。クソ、横の男子はこれから公害野郎って呼んでやる。
鞄から聖書を出して開いたとき、目の前に一人の女の子が立った。私の机に手をついて、私ににこっと笑いかけてくれてる。なんだ、ただの天使か。

「聖さん、聖さんってあの天才美少女エクソシストの聖さんだよね?」
「え? あ、エクソシストはエクソシストだけど、天才美少女ではないかな」
「そんなことないよ! 私テレビで見てから大ファンなの! 友達になってくれない?」

なんということでしょう、目の前の天使は私に友達になろうと声をかけてくれた!
もちろん断るわけがない。私かわいい女の子大好き! よって目の前の天使も大好き。
天使に名前を聞くと、桃井さつきちゃんというらしい。苗字からかわいい。名は体をあらわすっていうのは本当なんだなあと実感した瞬間だったよ。
私のことは好きに呼んでねというお言葉に甘えて、さつきちゃんと呼ばせてもらうことにした。日本で初めてできた友達がこんなにかわいくていい子でいいんだろうか。私恵まれてるわ、本当に。

「聖さんのことはなんて呼べばいい?」
「さつきちゃんが呼びやすいように呼んでくれれば!」
「なら瑠依ちゃんって呼んでもいいかな?」
「もちろん! よろしくね、さつきちゃん!」
「こちらこそよろしくね、瑠依ちゃん!」

そういってさつきちゃんは私をぎゅっと抱きしめた。さつきちゃん、その大きな胸に私の顔が埋まってるんですが。ありがとうございます、嬉しい。
別に変態ってわけじゃないけど、胸があたってても気にしないってことは、それだけ私に心を許してくれてるってことだよね? やった、うれしい。
なんてニコニコしてたら、横から男子の声がして。

「お前らさ、俺の彼女にならね?」
「だが断る」
「二人ともレベルたけえし? 俺のモノになれよ。俺灰崎。灰崎ショーゴ」
「さつきちゃんとテメェは釣り合わない、よって却下。もちろん私とも釣り合わない、よって却下。てかね、私女の子侍らせてる男って大嫌いなんだよね、だから君論外。それにさ」

――人以外の女を侍らせてる男はもっと嫌い。
そう言って聖水をぶっかける。周りの子にかかったかもしんないけど、まあ気にしない。どうでもいいし?
日本の霊って聖水で消えるのか不安だったけど、問題なく消えてくれた。良かったー、とりあえず霊の被害は受けなくて済む。
横でさつきちゃんが瑠依ちゃんすごい、とキャッキャと笑っている。ああもう可愛い、さつきちゃん天使。さつきちゃんにすごいって言われると、ほんとに嬉しいね、美少女ってすごい。
それにひきかえ、誰だっけ、公害野郎はポカーンと間抜けな顔を晒した後、私に向かって何か文句を言ってたけど無視してやった。テメェに構う暇なんぞないんだよ、公害悪霊つき野郎め。
こんな賑やかな中学校生活の始まりだったわけだけど、この後に更に賑やかになるなんて今の私は全然想像なんかしてなかった。
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