QLOOKアクセス解析その悪魔、祓います。 | ナノ
私は生まれながらのエリートだった。
エリートといっても、心霊系の、が頭につくけれど。

「名前を言いなさい、今すぐに!」
『誰がお前のような小娘になど言うか!』
「黙れよ、さっさと言わないとどんな目にあうか分かってるでしょう?」
『そんな脅しなど効かぬわ!』
「よし、周りに聖書のタワー作ってやる。その真ん中のお前に、頭の上から聖水のぶっかけてやる」
『やれるものならやってみ……ちょ、本気でやらないで!』

うるさい悪魔だ。私はちゃんと警告してあげたのに。聞かないこの悪魔が馬鹿だ。
私はバチカンで父と祖父とともにエクソシストとして活動している。
母の霊感の強さと、生まれつきの素質があってか、私の名は瞬く間にエクソシストとして広がっていた。
最近ではメディアの取材だの、テレビ出演だのの話が舞い込んできて、嬉しい悲鳴が出そうだ。
もちろん、お金が出るからそれに対してだけどね。
聖書と聖水、それからロザリオを手にバチカンの中を駆け回る私。
仮にも小学生のはずなんだけど、こんなに人生順調に進んでていいのかな。
いやまあ才能は才能だからいいのかもしれないけど。

「名前を言ったらやらないであげる。言う気になった?」
『言います、言いますから! アマイモンです、はい』
「素直でいいね。じゃあさ、この人から出て行ってくれる? この体にお前の居場所ないんだよね。正直なところ、邪魔でしかないからさ」
『え、いや、それはちょっと……』
「え? なんて? ごめん、よく聞こえなかったなあ」
『え、だからそれはいやなんですけど……』
「え? ごめん、よく聞こえないや。もう少し大きな声で言ってくれる?」
『で、出て行きます出て行きます! だから聖水の入ったバケツ近づけないで!』
「よし」

何だよ、最初から出て行くって言えばいいんだよ。この悪魔馬鹿なの?
とりあえずバケツ遠ざけたら依頼者の体ががくんと椅子に倒れこんだ。よし、成功だ。
依頼料をもらってお仕事は終了。今日も楽しく悪魔を祓えました。
家に帰る道の途中で、お父さんとおじいちゃんが私に話しかけてきた。

「瑠依はもう立派なエクソシストだね。パパちょっと寂しいなあ……」
「そうじゃのう。あのたどたどしかった手つきではないからのう……」
「まああれだけお仕事こなしたしね。これも成果だね」
「あのね、瑠依。ママが日本へ帰るのは知ってるよね? それで、瑠依はどうする? パパとバチカンに残るか、ママと日本へ行く? 好きなほうを選んでいいんだよ、でも瑠依はパパを置いて行ったりしないよね!」
「私日本に行く」
「瑠依ー!?」

いや、だって飽きたんだもん。悪魔祓うのワンパターンで面白くない。
最近じゃ、私を見た瞬間素直に出て行く悪魔もいるし、正直何の手ごたえもない。
それだったら、未知の世界でいろいろ祓ってみたいじゃないか。
だから後ろで泣きじゃくるパパは無視して、ママと日本へ行く。
ああ、楽しみだなあ!

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