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side:リコ

すごい。それしか口から出てこない。目の前でたたき出されていくスコアは、私の想像をはるかに超えていた。
50メートル走を横で見てると、その異常さが際立つ。一歳年下で、その上性別だって違う。白椿さんが明らかに不利な状況なのに、彼女は日向くんをいとも簡単に抜いていく。どうして日向くんを簡単に超えていくの……?
ほとんどの項目で十点や九点を簡単にとっていく。唯一持久走が平均以下だったから持久力はあまりないんだろうけど、それでも十分すぎるほど身体能力は優れていると思う。
女の子だからこの場で体操服を脱がして身体能力を見ることはできないけど、それでもわかる。この子は火神くんと同類の選手になる。確証はないけど、これだけははっきり言える。身体能力だけみれば、白椿さんは多分稀に見る天才のはず。
それなのに、どうしてその分野でも名前を聞いたことがないのかしら……。どのスポーツをしても、この身体能力なら上の方までいけるはず。それなのにどうして……?
……もしかして、白椿さんは自分の身体能力がいかに優れているのか、分かっていない……? そう思ったけれど、多分それはない。新体力テストだとか成績だとか、身体能力を数値化したものを見る機会は何度もある。だから多分その可能性は限りなく低い。
じゃあ、どうして……? そこまで考えて気付く。学校によっては大会に参加しない学校もあるんだから、私が知らなくても仕方ないかもしれない。
それでも、ここまで身体能力が高かったら大会に出ない学校でも、大会に出しそうな気はするんだけど……。だって無名の選手でいることが不自然すぎるんだもの。
この身体能力、うちの部に欲しい。誠凜の女子バスケットボール部はあってないようなものだし、マネージャーっていう名目で入部してもらって、選手として使えないかしら。見たところ胸はBカップくらいでそんなに目立たないし、試合の時だけ男装すれば十分選手として使えそうなんだけど……。
白椿さんが入ってくれたら、怖いものなしだわ! 今年の一年生は強い子ばかり。これなら今年も来年も大丈夫そう……!
新体力テストを終えて戻ってきた白椿さんと日向くんに、私は笑顔で言った。

「ねえ、白椿さん、出身校はどこ?」
「え……? 帝光ですけど……」
「帝光……? もしかしてバスケ部だった!? でもそれじゃおかしいわね……。まあいいわ、よかったらうちの部に……」
「ごめんなさい。私、もうバスケはやらないんです」
「え? ちょ、どういうこと……?」
「……黒子に、聞いてください。私はこれで……」

白椿さんは私が引き止める前に走って行ってしまった。バスケ部に誘った時のあの辛そうな、悲しそうな顔は何……? 呆然とする私に日向くんが呟く。

「アイツが入部したらと思ったんだが……」
「……黒子くんに聞いてみましょ。理由が分かれば誘い方がわかるかもしれないわ」

日向くんのああ、という返事を聞いてから、辺りを見渡して黒子くんを探す。何度もきょろきょろと周りを探ってから気付く。黒子くん、なかなか見つけられないんだった……! 今すぐ話を聞きたいのに……!
行くわよ、と運動場へ走った私達の横を黒子くんがすれ違ったのを、私は知らない。
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テーマ「人外ファンタジー」
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