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オサムちゃん

これの続き


オサムちゃんの様子がおかしい。なぜか今日はずっと私にべったりで。いつもべったりなのはそうだけど、もう少し距離があるんだけど……。
私オサムちゃんに何かしたっけ? 全く覚えがないんだけど、オサムちゃんには何かあったのしれない。オサムちゃんはちょっとしたことでも不安になったり不機嫌になるから、私が何とも思ってないことで不安になってるのかもしれないし、不機嫌になってるのかもしれない。
そうなって困るのは私だ。身に覚えがない分、どうすることもできない。何が原因なのかが分かっていたら、それに対する反応ができるんだけど、オサムちゃんは何が原因なのかすら言わないし。こういうところは子供っぽいというか何というか。
多分聞いても教えてはくれないだろうけど、聞くだけ聞いてみようか。私の首元に顔を埋め、私を抱きしめているオサムちゃんに問うてみた。

「オサムちゃん、私何かした? 今日なんかいつもより甘えてない?」
「……詩織のせいやないんやで?」
「なら何? とりあえず私は関係してるんでしょ?」
「……修学旅行、あるやん」
「うん、あるね。それがどうかした?」
「詩織のお風呂上りとか寝起きとか他の奴らに見られるやん、それがいやねん!」

ばっとあげられた顔は必至さしかなくて。私はどういう反応をすればいいのか分からなくて、ただ黙っているしかできなかった。
正直、あきれたって感情の方が大きいは大きい。いろんな感情が混ざった中で一番を閉めているのは呆れ。それは間違いない。
それでも、ちょっとうれしいって思ってる自分もいる。オサムちゃん、あんまり独占欲を出さないから。いや、出したくても出せないから。
私とオサムちゃんの関係は、恋人である前に生徒と教師だ。周りに見つかったら即アウト。それを理解したうえでこっそりお付き合いしてるわけだけど、やっぱり独占欲とかまでは殺しきれないし、隠しきれない。
私が他の女の子に話しかけられてるオサムちゃんを見ていやだなって思ったり、近付かないでって思うのと一緒で、オサムちゃんもそう思ってる……んだろう、多分。
いつもは見せない独占欲が、目に見える形で出ている。それがたまらなくうれしい。そう思ってしまうあたり、私はオサムちゃんのことが本当に好きなんだなあと実感させられるんだけど。

「私だって、いやだよ」
「……え?」
「寝起きのオサムちゃんとか、パジャマのオサムちゃんは私だけが見ていいオサムちゃんだし、オサムちゃんのお休みは私だけに向けられてないといや」
「詩織……」
「そう考えると、修学旅行やだな私も」

ぼそりとつぶやいた言葉はオサムちゃんに聞こえていたのか否か。その辺は分からない。それでも、オサムちゃんが嬉しそうに笑うからどっちでもいいや。
サボってまおうか。そんなオサムちゃんの言葉に頷きかけたあたり、もういい子ではなくなっちゃったんだなあ。先生に恋した時点で、もういい子じゃないんだろうけど。
修学旅行の間、どうやってオサムちゃんの近くにいたいと思うこの気持ちを抑えよう。そんなことを思いながら、私の体をぎゅうぎゅうと抱きしめるオサムちゃんの腕に手を添えたのだった。


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