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神尾

今年の夏は暑い。
節電だと騒ぐ母のせいで昼間クーラーがつけられず、茹だりそうだ。
しかも目の前の神尾の存在が暑さに拍車をかけているように思う、人口密度的な話で。

「あちー、神尾どうにかしろ。私はお前が宿題終わってないって言うから、テキストと部屋を提供してるんだぞ。私の寛大さに感謝しなよ」
「ったく、呆れる奴だな。去年は俺が見せてやったのに見せろって言ったらその態度かよ」
「神尾ダウト。私は神尾に見せてもらった事一度もありませんー」

私がそう言うと神尾は絶対見せた、と譲ろうとしない。
全く、中二なんだから多少あっさり認めればいいのに。
どこの小学生なんだ、ホント。
まだうるさく騒ぐ神尾を無視して、文芸部の部誌に載せる原稿に集中しだすと急に神尾が黙った。
答えを写す事に集中しはじめたようだ。
そう安心したのはつかの間、彼は答えを写してはいるものの、時折カレンダーをチラチラ見ている。
オイコラ神尾、と口に出そうになったが一旦停止。
よく考えてみれば今日は神尾の誕生日じゃないか。
私がいつおめでとうを言うのか気がかりで仕方ないらしい。
全く、どこまでも子供だ。
私は席を立ちリビングへと降りた。
その時、神尾が着いてきそうになったがドアを閉めてからさっさと写せ、の一言で神尾は大人しくなった。
冷凍庫からアイス二本出して部屋へ戻る。
集中して私に注意していない神尾の頬にアイスをくっつけてやった。

「つめてっ! いきなり何すんだよ」
「私からの誕生日プレゼントだ。神尾、誕生日おめでとう」

私がそう言うと神尾は一旦呆けてから笑顔を浮かべた。
そして冗談半分に安上がりなプレゼントだな、と言った。
いや、まあ勘弁してよ忘れてたんだからさ。
そんなこと言えるはずもなく私はうるさい、と神尾の頭をはたいた。

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