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仁王


俺は朝から不機嫌じゃった。
香水をこれでもか、と体にまとい化粧で顔を塗り固めた女共に囲まれれば、不機嫌になるのは仕方ないじゃろ。
誕生日おめでとう、仁王君、と渡されるプレゼントに曖昧な返事を返す。
おまんらからのプレゼントは、いらん。
どうせ自己満足のために渡すんじゃろ?
そんな押し付けがましいプレゼントなんか、いらん。
俺が欲しいんは、早坂からのプレゼントだけじゃ。
俺をよう知らんくせに、こういう時だけ取り入るような態度、とるんじゃなか。

「おはよ、仁王。朝から大量のプレゼントだねー、袋ある? ないならこうなると思って持ってきた袋、あげようか?」
「おはようさん、早坂。すまんが貰えるか? 袋がいくらあっても足りん」
「ははは、そらご苦労さんだね。今の一言はモテない男子からしたら、贅沢すぎる悩みだよ」

そう言ってから早坂は袋を投げて寄越した。
こういうとき、早坂は用意周到じゃ。
いつも助けられるんは俺、カッコ悪いけど。
その辺にいる女と違って、平等に接してくれる早坂。
そんな早坂が好きじゃ。
じゃから、早坂からプレゼントが欲しい。

「早坂、おまんはくれんのか?」
「プレゼント? それだけあれば十分でしょ、まだ増えるんだし」
「俺は早坂から欲しいんじゃ、他の女からはいらん」
「贅沢め」

一言だけ返して、早坂は何かを放った。
キャッチして見てみれば、チョコカップケーキじゃった。
ご丁寧にhappy birthday 詐欺師仁王というプレートつき。
早坂に視線を戻してみれば、早坂はいつものからっとした快活な笑顔を浮かべてこう、俺に言った。

「誕生日おめでとう、仁王」


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