QLOOKアクセス解析main | ナノ



謙也


私は今、グランドの中心にヒヨコを見ていた。
とりあえず帰ってきたら頭を撫でてやりたいとさえ思うのだから自分の頭が相当危ないとは思うのだが、可愛いんだから仕方がない。
障害物競争でうまく走れずにいる謙也が。

「おい白石、謙也が可愛いだんだがどうするべきかな」
「そんなん言われたってなあ…。なあ、俺はどうなん、俺は!」
「シネ」

一言清々しい程の笑顔で言ってやれば白石はそこがまたエクスタシー!とかワケわからないこと言い出した。
正直、うぜえ。
とりあえず隣の白石ウザノ介はガン無視して謙也に視線を戻す。
ネットくぐりであちこちひっかかっりながらももぞもぞ前に進む謙也。
ホントヒヨコみたいだ。
ようやくネットを潜り終わって自慢の俊足を自慢してるが、次はパン食い競争。
速度出しすぎてるとパンとれないぞ、ヒヨコ…違った、謙也よ。
謙也を見ているとやっぱりブレーキが間に合わず、少し先まで行ってからパンのとこまで戻ってピョコピョコ飛んでいる。
…うん、可愛い。
謙也はこれだけでいいよ、スウェーデンリレー出なくていい。
私はこれだけで満足した。
だってさ、なかなかパンが取れなくてなんども飛んでるの可愛いんだもん。
身長高いのが残念だがまあいいや。

「毎日あんなんなら可愛いのに」
「え、ホンマ!? なら俺頑張るわっ!」
「お前に言ってねえし。お前一回黙れ、ウザい、この白石ウザノ介が。明日から名前書くときウザノ介って書け」
「愛の裏返しやな、ツンデレなんやろ、詩織!」
「名前呼ぶな、うぜえ、消えろ」

誰が名前呼んでいいと言った、誰が!
こいつマジでどうにかしてくれ…。
もういい、後で謙也に癒されるから。
明日から謙也にパンをちまちまあげようかな、と思う。


[ 22/30 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -