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白石


クラスメートの白石は無駄がなくいつも完璧や。
テニス部の部長までこなしとる上にイケメンやし性格もええ。
そうなれば自然と女子にはモテる訳で。
今日も教室の入り口でうるさい女子が騒いどる。
人の迷惑を考えてほしいもんやわ。
昼寝しようと思ったのにこれやったら寝られへん。
しゃぁないから体起こしてみれば目の前には浪速のスピードスターもとい浪速のヘタレスターがおった。
こいつもモテるからあんまり近寄りたくないんやけどなー…。

「なぁ、早坂、まだ話せてないん?」
「うるさいわ、ヘタレスター。話とったら視線に殺されるっちゅうねん」
「そんなん、言い訳やろ」
「うるさい、ドアホ!」

ペチン、と頬を叩いたったら大袈裟に痛いわ、と喚く忍足。
あんたが悪いんやん、これはさ。
現在進行形で私は完璧な白石に片想い中で、忍足はそれを知る数少ない人間や。
相談相手にはならんけどな。
ヘタレが相談相手になったら驚きでしかないわ。
同じクラスやのに、白石とは事務的な内容しか喋ったことがない。
結論的にはウチもヘタレと同じやねんけどな。
ウチの意気地無し、と自分を罵っとったらウチの後ろからにゅっと手が伸びてきた。
その手は忍足の頬を軽く引っ張っとる。
左手に包帯が巻いてあるって事は、白石やんか!

「謙也、また早坂に叱られたんか?」
「叱られたんとちゃうわ! 理不尽な八つ当たりや!」
「言い訳はいらんからはよオサムちゃんとこ行き。呼ばれとったで?」
「ホンマか? すまんな、白石」
「気にせんでええよ」

爽やかスマイルを浮かべているであろう白石に礼を言った瞬間、忍足は流星の如く教室を後にした。
教室に残されたウチと白石ははたから見れば、付き合っとるように見えたかもしれん。
だって、白石がウチの後ろから手を出してんねんから。
ドキドキするのをおさえて白石の左手見ると、いつもキッチリ巻いてある包帯がほどけとった。
なんとも珍しいこっちゃ。
本人は気付いてないみたいやから指摘のために口を開く。

「白石、包帯ほどけてんで」
「ほんまやな、気付かんかったわ。片手で巻くぶん、ちょっと緩みがあったんやな」
「巻き直したろか?」

自分の口から出た言葉に自分ですら驚きや。
あっさり言えるとは思わんかった。
白石は一瞬キョトン、としとったけどすぐにいつもの爽やかスマイルを浮かべて言った。

「ほな頼むわ」

その笑顔で白石に触れとる指先が更に熱くなったんは知らんぷりしとこう。


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