QLOOKアクセス解析short | ナノ
ああ、寒い。
もうね、クリスマス寒波とか来なくていいよ。
雪とか降らなくていいよ、もうマジで。
何が楽しくて、ホワイトクリスマスにリア充の間をぬって、木吉と歩かなきゃなんないの。
もちろん彼氏じゃない。彼氏いたらこんな心境でクリスマス迎えてない。

「寒いな、瑞希」
「そうだね、木吉。お財布も身も心も寒いよ」
「はは、そりゃ大変だ」

笑い事じゃねえよ!
隣で朗らかに笑う木吉に、私は内心大きく突っ込みを入れた。
こいつとは長い付き合いになるけど、ホント思考が読めない。
まあ天然だから仕方ないんだけど、こいつの思考回路というか、頭の中がどうなってるのか知りたい。
二人で肉まん片手に、白い息を吐きながら家路を辿る。
肉まんは木吉のおごり。いつもはおごったりしないのに珍しいなあ。
そう思っていたら、木吉が私の肉まんをじいっと見つめていた。

「なあ瑞希」
「何?」
「一口もらえないか?」
「はあ?いや、君同じ味でしょ」
「そっちの方がうまそうに見えるからさ」

ダメか?
そう言って首を傾げる木吉に、私はああもう分かったよと肉まんを差し出した。
私は木吉の首を傾げる仕草に弱い。
だから首を傾げられると、木吉の要求を飲んでしまうのだ。
あーあ、肉まん少なくなっちゃった。
ぱくりと私の肉まんをかじった木吉を横目に、私は小さく息を吐いた。
モグモグと咀嚼を繰り返す木吉が、なんかかわいい。
餌付けしてるみたいだなあ、なんて思っていたら、木吉が肉まんを私の方につきだした。
うん?どういうことかな、これ。

「一口食えよ。これでおあいこだろ」
「いや、いいし。残ったので十分だし」
「ほら遠慮するなって!」
「むぐっ」

無理矢理突っ込まれたよ、いや女子にそれやる?
木吉に文句を言ってやろうと睨み付けると、木吉はニコニコわらってるだけ。
ああ、分かったよわかりました!
どうせ言っても止めやしないんだから、食ってやるよ!
やけになって一口分をかじると、満足したのか肉まんを押し込む手をどける木吉。
不機嫌な顔をして咀嚼する私に、木吉はやっぱりニコニコするだけ。

「うまいか?」
「まあそれなりに?」
「ならよかった。そういやこれ、間接キスになるな」

危うく肉まん吹くとこだった。
いや君それ今いうこと!?
こいつの思考はホントよく分からん。
肉まんを飲み込むと、木吉がああそうだと鞄を探りだした。
何出すつもりだ、まさかお菓子でも間接キスだーとかするつもりか?
だったらお断りだぞ。
いつでも断れる準備をしていたら、木吉は満面の笑みを浮かべて小さな紙袋を私につきだした。

「なに、これ?」
「なにって、クリスマスプレゼントに決まってるだろ」
「困るよ、私何も用意してないし!」
「気にするな、準備されてたら彼氏の面子たたないだろ?」
「ん?彼氏?」
「ああ、そうだぞ。俺とお前は恋人同士だろ?」

こいつ、何いってんの?
いや、誰が誰と恋人同士だって?
私と木吉が恋人同士とか、絶対ないよ、うん、告白された覚えないし!
木吉のこと嫌いじゃないよ?
むしろさ…、じゃなくて!
頭がいきなりの出来事に追い付かない。
いや、もうね、訳がわからないよ。

「私、木吉に告白された覚えないんだけど?」
「あれ、そうだったか?悪い悪い、告白した気分でいた」
「ばか…」
「まあいいか。今いうぞ」

俺は瑞希が好きだ。
ああ、もう木吉のばか。
このタイミングで断れるわけないでしょ?
本当にばか、超絶ばか。
でもさ、そんな木吉が好きな私も超絶ばかなのかもね。

「返事は一度しか言わないからね」
「おう」
「私も好きだよ、木吉」

そう言って私は間髪入れずにキスをした。
これでおあいこだからね。
なんて、私の奇襲を照れた笑みで返す木吉には通用しないんだろうけど。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -