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さらっと流れる長い黒髪だとか、柔らかそうな頬だとか、俺より小さな手だとか。
俺の目を引く部分が多すぎて、岡崎から 目が離せない。離れない。
今日も友達と菓子を摘みながら喋っている姿を横目に見て満足する。我ながら気持ち悪い。これじゃまるでストーカーだ。
一応自覚はあるが、やめられるかと聞かれれば否だ。やめようと思っても、すでに習慣のようになってしまったこれはなかなか やめられない。
喋ったことなんか、指で数えられるしかない。しかも全部事務的な話でだったと思う。透き通った高い声。古橋くん、と岡崎が俺の名前を呼んだ呼んだとき、びくりと心臓が跳ねた。あの感覚はなかなか慣れない。呼ばれることは嬉しいんだが。
俺の目が死んだ魚の目みたいに光がないのが悪いんだろうか。それとも、能面のように表情のかわらないこの顔が悪いんだろうか。
花宮のように仮面をつけられたなら、話す機会も増えていたのかもしれない。今更嘆いたところで、特に現状は変わらないだろ うが。

(…好きだ)

忙しそうに周りの女子に相槌を打つ岡崎。クラスの人気者なアイツと俺は釣り合わ ない。だから、今のままでいいのかもしれない。
友人は少ないが、一応友人はいる。…まあ友人と言っても、バスケ部の奴らだが。
ザキの所にでも行くか。アイツパン余分に 持ってるし、昼飯用にいくつかせびろう。
クラスメイトと楽しそうに談笑する姿を見たくなくて、俺はそれらしい理由をつけて教室を後にしようとした。
俺がドアに手をかけたとき、談笑していたグループの声がぱたりと止んだ。どうしたんだろうか。まあ、俺には関係ないか。
がらり。立て付けの悪くなったドアを開け、右足を廊下へ踏み出す。すると後ろから衝撃が俺の体へ伝わった。

「古橋くん、あの、その…」
「…どうした?」
「古橋くん、って、付き合ってる人、とか いる…?」
「…、いきなりなんだ、いないが…」

俺に衝撃を与えたのは、俺が目で追っていた人物で。動揺が顔に出ないように気をつけながら、平常心を装って返事をした。
俺の返答を聞いて、少し安心したように顔を綻ばせるソイツに、俺の心臓は鼓動を早めていく。単純だな、なんて毎度のこと思うことを今日も思って向き直る。
もじもじする姿は可愛らしいしいじらしい。ああ、今日はなんてツイてるんだ。おは朝の占いが一位だったことが関係してるのか? だとしたらおは朝も侮れない。
なんて考えていたら、透き通った高い声で現実に引き戻された。

「古橋くんっ、好きです…! お付き合い、してください…っ!」

…本当に、おは朝様々だ。俺は今日からおは朝信者になろうかと思う。
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