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好きだよ、誰よりも好き好き大好き。
飽きもせず私へ己の気持ちを伝えるベルトルトは異質すぎた。彼が異質なのは出会ったときからだったけれど、最近はそれに磨きがかかった気がする。
最初はライナーの後ろに引っ付いて極限まで自分の存在感を殺した、なんというかいるのかいないのか微妙な人だった。
自分の意見も言わないし、基本的に喋らないし。訓練兵時代、ああコイツはきっと途中で死ぬだろうな、そんな風に思ってた。
私達の心臓は自分のものじゃない。人類へ心臓を捧げた身なんだから、他人のことにまで気が回らなかったんだから仕方ない。自分でも薄情だとは思うけれど。
そんなベルトルトは憲兵団希望だとか言っていたのに、生き残って調査兵団に所属しているし。あれにはびっくりした、まさかこんな奴が調査兵団へ希望変更するなんて思ってなかったし。
驚いたのはその後のことで、ベルトルトはなぜか私に告白してきたのだ。まあ好かれるのは嫌な気はしないし、こんなご時勢に生きているんだから一度や二度恋愛をしてもいいかと思い、彼の告白を受けた。
まあそれがこんな事態になるなんて思っても見なかったけど。

「ねえリリィ……、何で僕以外と話すの? 僕の気持ち、まだ足りない?」
「足りてるよ、十分すぎるくらいに」
「なんで? こんなに好きなのに……。僕にはリリィがいればそれでいいのに。リリィにとって僕はそんなに重要な存在じゃないの?」
「そうとは言ってないじゃん。でも班が違うんだから納得してよ……」
「嫌だ。リリィは可愛いし強いしカッコいいし優しいから、他の男が放っとかない。不安なんだよ、僕の知らないところでリリィが僕以外に心を奪われないか……」

だって僕はこんな風になよなよしてるし、腰巾着って言われてるし。リリィとはつりあわないもん。
私を後ろからぎゅうっと抱きしめて私の首元に顔をうずめるベルトルト。不安げなその様子はただただ単純に可愛い。
なんというか、自分のおもちゃを取り上げられたくないとおもちゃを抱きしめる子供みたい。自分の恋人をこう見てしまう自分は恋人として、また同期としてどうかと思うけど。
苦しいぐらいに私の体を抱きしめるたくましい腕。やっぱりなよなよしてても男の子なんだなあ。当たり前のことを思って、私はベルトルトの頭を撫でた。
その瞬間顔を上げ、半分べそをかいた目で私を見るベルトルト。本気で私の彼氏様は不安がっていたのか、泣く位に。
呆れてため息もつけない私に、ベルトルトはまたその目に涙を浮かばせる。何か勘違いしてるんじゃないだろうか。別に私ベルトルトのこと嫌いなわけじゃないんだけど。
大体、嫌いなら付き合い始めて日が浅いうちに振ってる。私合わないと思った人間との恋人ごっこに付き合ってあげるほど優しい人間じゃないし。
今まで恋人という関係が続いているのは、私なりにベルトルトが好きだからなんだけど。どうしてそれに気付かないかな、この大型犬のような彼氏様は。

「あのね、私ちゃんとベルトルトのこと好きだよ。そりゃなよなよしてて頼りがいないときあるけど」
「やっぱり、リリィは僕のこと……」
「話は最後まで聞いてくれるかな。まだ話終わってないから。そりゃね、もう少しこうしてくれたらなって思うところがないわけじゃないよ。でも完璧な人間なんていないし、欠陥があるから人間でしょ? それに、ベルトルトは私に優しいし、誠実だし、付き合うにはそれだけで申し分ないんだけど。ベルトルト浮気しないじゃん、それってベルトルトのいいところだと思うけど」
「リリィ……! 好き、大好き……!」

ぎゅうぎゅうとさっきより腕に力をこめたベルトルト。ちょっと流石に私死んじゃうからもう少し緩めてくれ、内臓圧迫されて口から内臓でそう。
ちょっと不器用で、愛情表現がへたくそだけど、私が愛されてるってことは伝わってる。だからさ、もう不安そうな顔しないでよ。
こんな風に異質な彼の愛情を受け止め、それを心地良いとすら思う私も、他人から見たら異質な存在なのかもしれない。そんなことを思いながら、なきながら笑うベルトルトの唇に自分の唇を寄せた。


――
イヴさんリクエストの可愛くて病んでるベルトルトに溺愛される話でした。
リクエストいただいてから長い間待たせてしまって申し訳ありません……!
必死に書きましたが、どうあがいてもヤンデレにしかなりませんでした、すいません……。
お持ち帰り・書き直し等はイヴさんのみ受け付けます。
この度はリクエスト本当にありがとうございました!
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