QLOOKアクセス解析If I were you, | ナノ

生きるということは、常に変化の隣にあるものだと思う。望もうとも望まざろうとも、現状は刻々と変わっていく。
それは分かっているつもりだ。分かっているけれど、あまりにこれは急すぎやしないだろうか。

If I were you,I would not make such judgment.

何かに引かれるようにして目が覚める。窓から入る光で、部屋の中に闇は残っていなかった。いつも通りの朝だ。
体に染み付いた六時間睡眠。ハンジさんに起こされる前に目覚めるのはいつものことだ。
服を着替えて、少し寝ぐせのついたままの髪を撫で付ける。手を離すと元通り跳ねてしまう髪に、これはなおらないかもしれないと、少しため息をついた。まあ、ハンジさん以外に誰かと合うわけでもないしいいか。会ってもリヴァイさんとエルヴィンさんだけだし。
全く睡魔の残っていない、しゃっきりとした目。今日はいつもより調子がいいかもしれない。
なんて思いながらハンジさんがいるであろう部屋へ行くためにドアを開けようとしたら、勝手にそれは開いた。どうやら来客らしい。
一歩下がってその来客を確認すると、それはリヴァイさんだった。最近久しく会っていなかったから、少しだけ驚いてしまった。

「起きていたか。もう少し寝ていても良かったんだぞ」
「いえ。目が覚めてしまったので」
「まだ起床時間の二時間前だ。睡眠は大切だ、寝れるときに寝ておけ」
「体が寝るのを拒否するんです、これ以上寝れません」

意地でも寝ないということを表すと、リヴァイさんは呆れたようにため息をついた。人類最強の男にため息をつかせてしまった。私はある意味すごいんじゃないだろうか、あくまである意味だが。
くだらないことを考えていたけれど、リヴァイさんはなんのためにこの部屋へ来たのだろうという疑問が浮かんできた。
リヴァイさんが私の元へ訪れるのは珍しいことじゃない。記憶を失った私にとって、リヴァイさんは父親のような存在だったし、また師匠であった。
恐らくリヴァイさんも同じだ。自分の拾った人間が記憶喪失だったため、世話を焼いているだけ。多分、私とリヴァイさんとの関係はそんなもんだ。
ハンジさんは私に対して若干過保護な面がある。まあ、親代わりであることを考えれば、その範囲内ではある気はするが。
話がそれた、リヴァイさんが私を訪れるのは珍しくはないが、こんな朝早くに来るのは珍しい。大抵、昼間か就寝前に訪れることが多いから。
何か緊急の用事なのだろうか。いつもと変わらない無表情を見つめていると、私の視線に気付いたのか、リヴァイさんは口を開いた。

「エレルアよ、今日からお前は104期生と訓練しろ」
「104期生と、ですか? また急にどうして…」
「お前には立体機動を中心に、色々と教えた。お前のその実力は認めるし、本物だ。だが兵士として足りないものがある」
「…チームワーク、ですか」
「そうだ。何度か俺と同行させたが、チームワークがなさすぎる。俺と組むときはいいが、その他と組むときにはお前の実力がかえって仲間を殺す。エレルア、お前はチームワークを学ぶべきだ。人類のためにも、自分のためにも」

今日のリヴァイさんはよく喋る。いつもは一言二言なのに。それほど重要だということなのか、チームワークが。
確かに、私はチームワーク…というか、協調性が欠如していると思う。五年間、ハンジさんとリヴァイさん、そしてエルヴィンさんとしか喋っていないのだから、コミュニケーション能力と協調性は皆無に等しいだろう。
巨人と戦ったとき、あまりそういったものを必要だとは思わなかったが、それはリヴァイさんと一緒だったからだ。リヴァイさんは私の癖や性格を全て知っているから。だから協調性なんかなくたって、問題はなかった。
でも他人と組むときは違う。誰も私を理解していない状態で、今までのように動けば仲間を殺すのは当たり前のこと。兵士になるには、私にはあまりにも多くのものが欠落している。それを埋めなければいけないのは当たり前のことだ。
その最善で、一番手っ取り早いのが104期生と共に訓練をするということなのだろう。
リヴァイさんの言うことに間違いはない。リヴァイさんが行けというなら、私はそれに従おう。

「分かりました、104期生と訓練します」
「物分かりがよくて助かる。手加減はするな、お前はアイツらの手本になれ」
「はい」
「それから、そのままで訓練をするのは許さん。事故が起きる可能性がある、座れ」

リヴァイさんに椅子を示されて、私は大人しくそれに従い椅子に座った。
机の上にあった櫛を手にし、リヴァイさんは私の髪をいじり始めた。保護されたときから、リヴァイさんは私の髪をいじるのが好きだ。リヴァイさん曰く、長くて綺麗だからいじりたくなるのだそうだ。私の髪をいじるときのリヴァイさんは本物の父親のようだ。
数分後出来たぞというリヴァイさんの声に髪を触ってみれば、私の長い髪は背中で一本に編まれていた。リヴァイさんらしいきっちりとキツく編まれた髪は、私の動きにあわせて小さく揺れた。
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