QLOOKアクセス解析It was ________. | ナノ

恋の賞味期限が三年だと知ったのは、はたしていつだっただろうか。
もうとっくに三年が過ぎてしまっている私の恋なんて、誰も引き取ってくれないんだろうな。

It is secret.

せっかく猛勉強して秀徳に入学できたのに。
また中学の頃と同じように、和成と一緒に過ごせると思ったのに。
入学初日からそれが壊されるってなんなの。

「明華、ワリィ。急に練習はいって、一緒に帰れないっぽい。練習おわんの遅いから、先帰ってて」
「……う、うん、分かった。練習、かんばってね」

そういった私の顔は、ちゃんと笑っていただろうか。
がっかりしたけど、それを和成に見えるわけにはいかない。
私はただの幼馴染で、和成の彼女なんかじゃ、ない。
だから私がわがままを言って、和成の重荷になってはいけないのだ。
幼馴染だから、和成を応援しなくちゃいけない。

「私、部活見学行ってから帰る。おばさんに伝えとくから」
「マジでごめんな、明華。帰りにシュークリームでも買って帰るから!」
「忘れたら、窓から突き落とす」
「わーったって、忘れねえよ! じゃ、気をつけて帰れよ」
「うん。和成は頭にボール当てられないようにね」
「わーってるって。じゃ」

申し訳なさそうな顔をして教室を後にする和成を、私は手を小さく振って見送った。
和成の姿がなくなってから、私は小さくため息をついた。
和成の、嘘つき。入学式は部活がないから、一緒に帰れるっていったのに。
久しぶりに、二人で帰れると思ったのに。
楽しみにしていただけ、ショックが大きすぎる。
和成が春休みから部活に行ってたことも、入試を学力だけで合格したんじゃないってことも、私は全部知ってる。
そりゃ、バスケと幼馴染、どっちが大切かなんて、分かってる。
分かってるけど、ドタキャンはないよ……。

「おい」
「はい?」
「お前は高尾の彼女なのか?」

……いや、こいつ何言ってんの。
隣の席の緑髪の男子に、突拍子もなく聞かれた。
いや、そうだったら良かったと思う。
和成の彼女になれたら、なんてことは、今まで何回も思ってきた。それも、数えられないくらい。
でもそんなの叶いっこないんだ。
私は顔に作り笑いを貼り付けながら、テンプレートになった返答を口にする。

「まさか。私と和成はただの幼馴染なだけ」

幼馴染か。
そんな答えが返ってきた。
うん、だたそれだけと返すと、彼はもう興味をなくしたのか、そうかとだけ言って教室から出ていった。
何が聞きたかったんだろう、あの人。
そんなことを考えながら、私も教室を出る。
バスケ部と関わらないような部活に入ろう。
廊下を歩きながら、部活案内の紙に目を通す。
文化部がいいな、なんて思う私の耳に女の子の甲高い声が通り抜けた。

高尾君、かっこいい!

ああ、ここは体育館に近かったっけ。窓の外に目をやって初めて気付く。
初日からこんなの、見たくなかったなあ……。
唇をかみ締める私の頬を、知らず知らずのうちに涙がこぼれていた。


(和成が好き、だなんて)
(口が裂けても言えやしない)

(だって私が和成の幼馴染だから)
(この恋はきっと叶わない)

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -