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2013.03.03.Sunday

名前→神田で固定。帝光中でそこそこ話をする仲だった子。非バスケ部。



ただただ、怖かった。
僕の視界から色が消え、チームメイトが消え、見知った顔が消えていくのが。
残された僕はただただ非力で、臆病で、そしてとても――弱虫だった。

「卒業式からまだ一週間もたってないよ、赤司くん。私に会いたくなった、なんてどうしたの」
「神田…」
「…どうしたの、その目。薄くなってない? 赤が、消えてる」

神田は僕をバカにすることなく、ただ僕の手を握ってくれた。
気持ち悪がることもなく、笑うこともなく、純粋に驚き、そして僕の話をきいてくれた。
彼女と知り合ったのは、一年の時だったと思う。図書室で僕の借り終わった本を借りていたのを見たのが始まり。
そこからどちらともなく話すようになって、それで関係は平行線で卒業を迎えた。
別に神田と恋人になりたいわけではない。だから今の関係に満足しているし、この目のことだって話すことが出来た。
近すぎる存在は怖かった。近いから、僕の目を気味悪がって離れていくのを見たくなかった。
神田は近すぎず、透すぎない人だったから。だから僕は神田に助けを求めた。
馬鹿みたいだ、僕はなんにもできやしないのに勝手になんでも出来る、と僕の像を作り上げて。
こんな僕が、本来の僕だ。真逆の像は、ただ滑稽なだけだった。

「…神田、僕は怖いんだ。この目からは、色も人も消えていくんだ。どうすればいい、神田、君も僕から離れるのかい…?」
「…赤司くんって、たまにどうしようもない馬鹿だよね。私が離れると思ったの? くだらないことを言わないで、目がどうであろうと、赤司くんは赤司くんでしょ」
「神田…」
「一人で抱えすぎなんだよ、赤司くんは。赤司くんは、人間なんだから。誰かに助けを求めていいし、誰かのそばにいたいと思っていいの。頑張りすぎなんだよ」

神田はそう言って僕を抱きしめた。彼女からは少し古びた本の匂い…図書室の匂いがした。
神田は、僕を突き放さなかった。僕を抱きしめてくれた。僕を――受け入れてくれた。
神田が僕を拒絶しなかっただけで、僕の恐怖はどんどん小さくなっていく。不思議なものだ、あれだけ怯えていたのにもう怖くなんてない。
ねえ、神田。僕が助けを求めたり、側にいたいと言ったら、君は頷いてくれるのかな。


ここまで。
思った以上に赤司が病んだ上、夢主に依存してしまうことがわかりました。
夢主、男前すぎやしないだろうか。


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