「おーい、生きてるかー」

「………」

生きてるかって、そんな当たり前なこと言わせないで欲しい。








ただせさえ(とくに今は)体力が有り余ってるわけじゃないと言うのに。

「また派手にやられたなー」

横たわって動かない私に近づく水戸を近づくなという意味合いで睨んだが効果なしで、なぜかお姫様抱っこされていて。

「女が顔に傷つくっちゃダメだろー」

「…おーろーせー」

「しっかし軽いなお前、ちゃんと食ってんのか?」

「さーわーんーなーやー…」

「わかったわかった」

全然わかってねぇよくたばれと顔を見られたくないから俯いて悪態をつくが、わかったわかったと流されて桜木軍団のもとへ行く。

なんでこんなボロボロなのか。
単純に喧嘩。それだけ。
それで片付いたらどんなにラクか。

桜木達と一緒にいて(正確にはあいつらがくっついてくんだ)目をつけられた。私も不良の部類なわけで狙われるのが当たり前。今日はたまたま人数が多かった(ざっと10人くらい)(女相手にどんだけだ)。

それで片付いたら、どんなにラクか。

「負け犬」「卑怯者」「バスケの敵」

その言葉を言った奴らにも腹が立つし、その言葉にぶちキレた自分にも、腹が立つ。

「助けんなよ……」

バスケが大好きだった。

そのバスケで仲間に怪我をさせた。


事故だった。でも、仲間はバスケが出来ない体になった。
私は仲間からも、学校の奴らからも嫌われた。
自分から不良になったわけではない。けどシメてくるやつらをシメ返したらいつのまにか狙われだした。

バスケが大好きだった。
けど、私がバスケをやる資格なんてない。

「名前!大丈夫か!?」

一番に駆け寄って来た桜木。
そして次々に来る桜木軍団、なんか、イライラした。

「なんで、助けた」


ムカつく


「私なんか…助けんなよ」


嫌われたかな、どうだっていい。


一人には、慣れた。


「バカもーん!!!」

「…っ」

るせっ…


っておい、なに肩掴んでんだこの体制でなんで肩掴んでんだそしてなんでお前ら黙ってんだこの馬鹿どうにかしろよ馬鹿共。

「仲間(ダチ)だからだ!」

「…は」

「お前が他の奴らからどう思われてるかなんて知ったこっちゃねぇ!」

「仲間(ダチ)だから助けたんだ!」

「傷つけられた仲間(ダチ)助けて何が悪いんだ!!」

ポカンと桜木を見てたら、上から水戸の声がした。

「オレらさぁ、お前いないとなんか落ち着かねーんだよ。
オレらがいたいって言ってんだから、それでいいじゃん」

ああ、なんか、馬鹿だよコイツ。いや、コイツらか。

なんか、あぁ、

笑うのなんていつぶりだったろう。



泣くのなんて、いつぶりだったろう。



「ぬ!?泣いてんのかお前!?」

「うるせぇ見んなニワトリ」

「なにをー!」

「…ありがとう」


「!」

そんなコイツらといたいなんて思った私も、相当馬鹿だ。

喧嘩上等不良上等!

(あとから裏で桜木軍団の姫伝説が広まったのを知ったのははまた別の話)

(マジで死ね馬鹿)



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名前をシメた不良達は名前の倍シメ返されたとさ。

ちゃんちゃん!




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