これはある、雪の日の話である。



真っ白な世界を男は一人歩いていた。男が歩いていると目の前に女がいた。髪の長い女がこの寒い雪の中裸足で歩いていたそうな。

だから、男は問うた。

“何をしているんだい”と。

女は足を止め、

こちらを振り向いた――――。











女の顔は「わっっ!」

「ぎゃぁぁぁあああっ!!?」

突然の大声に、今まで雑誌の怪談話を身を震わせて聞いていた男子生徒があまりの驚きに悲鳴を上げた。

「びびびびっくりさすなボケ!つかなんだその脅かし方!」

「やーいビビってやんの!」

「テメッ!」

「アハハ!」

「てか、なんだその本!?」

取っ組み合いを始めそうな勢いで、一人の生徒がその雑誌を指差した。

「知らねーの?
『妖怪怪談特集・恐くてトイレに行けないよママ!』(タイトル)」

「今大人気なんだぜ
ほかのクラスみんな持ってた!」

「タイトル無駄に長ーよ!」

「そういえば怪しいって言えばさぁ、さっき高橋もこれ読みながらどっか行ったぜ」

「マジで!?そんなの見るんだあいつ?」

「見るってかその塊じゃんあんな変な部活作ったんだし」

「あーアレ?奇怪現象解決しますってやつ?」

「アレなんだっけあのアレ―――」




伏真嘉高校屋上


昔一度、自殺事件があって以来立ち入り区域の場所となっている場所だった。

そこに、彼女はいた。

クラスメイト達が持っていた雑誌を被せて、手を組んで昼寝真っ最中。その雑誌からは純白の髪の毛が覗いている。
と、そこで彼女の顔が雑誌から現れた。校舎裏から声が聞こえたからだ。
右目に眼帯をしている彼女。その彼女がヨタヨタと赤ん坊のようにはい、上から眼帯をしていない左目で校舎裏を覗いた。

そこから見えたのは、大きな体二つと小さな体一つ。
大きな体はおそらく上級生、小さな体はおそらく一年生。

少女はそれを見てから立ち上がり――――5階の屋上から飛び降りた。

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