「「「…………はぁ!!!?」」」

盛大に驚愕と言うなの喚声を上げたのは、キイを除く部員全員だった。
そして彼らはそれに対応出来るほど、順応ではなかった。

「こいつは六右。山本五郎左右衛門のせがれだ」

ぬらりひょんは少年の小さな頭に手を置いた。

【六右(むう)
妖怪の長『山本五郎左右衛門』の息子】

少年もとい六右は、やっとキイの魔の手(首締め)から逃れることが出来たらしく、ムスッとほっぺたを膨らませ、明らかに不機嫌なことを主張していた。
妖怪の長、またの名を魔王の息子を殺しかけた張本人のキイは我関せずと相変わらずの無表情で部員達と並んで座っている。

「山本五郎左右衛門って…っ」

「魔王じゃねぇか!」

「つーかガキいたのか!?」

――――山本吾郎左右衛門

妖怪界の長にして、魔王とよばれている大妖怪である。
有り得ないVIP(※大物)の名があがり、もれなくちとし、真知、朧が声を張り上げる中、キイはぬらりひょんに向けていた顔を少年に戻す。少年はキイの視線に気づくと、顔を歪めながらも嘲笑い彼女を見上げた。

「怖じ気づいたか?おれは妖怪の長の息子じゃ。今度手をあげれば貴様もたたではすまんぞ!!」

自分を見下ろすキイにそう吐き捨て、ぐるりとぬらりひょんへ首を回した。

「じっちゃん!おれはヤじゃコイツらと一緒なんて!!」

「まぁ一日だけだしわしが帰ぇるまでそこにいてくりゃあ」

「嫌じゃ!人間と一緒なんて!」

またキイへと首を回し、彼女の目を見て、言いきった。

「おれは!人間が大嫌いじゃ!!!」

「人間どうこうの前にてめぇの性分どうにかしようよ」

「あ゛うっ゛!?」

「待て待て待て待て!!!」

「キイその子の首絞まったらおれ達の首が斬れちゃう!!!」

「この時代でおれらが首討ち獄門という珍しい死に方した人になっちゃうんだぞ!」

「うちら運命共同体★」

「キイちゃんんんんん!!!」





なんとか首打ち獄門を免れた妖万部。少しだが場も落ち着き、ようやくまた席に着くことが出来たのだった。キイを睨みつける六右を横目に、真知は眉間にシワを寄せて口を開いた。

「…つーか、じいさんよお
いくら依頼っつってもガキは預かれねぇよ」

しかも魔王の息子。
ボヤく真知に今度はぬらりひょんが眉間にシワを寄せた。

「なんじゃいこのぬらりひょん様々がせっかく仕事を持ってきたっつーに」

「海坊主様々がなにを云うか」

「ここどこだと思ってんだアンタ!学校だぞ!つーかそんな坊ちゃんなら付き人くらいいるだろ!?」

「あぁ無理無理。コイツ家出してきたから」

「家出!?なんでまた」

「親父(山本)に大事にとってたプリン盗み食いされたらしい」

「なにやってんの魔王とそのせがれ!!!」

「プリン莫迦にすんな人間!おれが風呂あがりに食べようとして大事にとっといたプリンを食われたおれの気持ちがお前らにわかってたまるか!」

「プリンはバカにしてねぇ。お前をバカにしてるんだ」

ガン

「……………!!!!!!」

朧はキレた六右に、股間を思い切り蹴り上げられその場で悶え伏した。
キイ達は同情の眼差しを朧に向けつつ、ちとしが話を続ける。
もちろん朧は無視の方向である。

「だけどおれ達がいいとして…本人がアレじゃあ…」

「でもさーじいちゃん。あんだけ人間嫌い宣伝した妖怪を人間の学校に一人置いてくのもどーよ?」

「仕方なかろう、六右が勝手にわしんとこ来たんじゃてめぇらのとこしか場所がねぇ。まぁどのみちてめぇらに拒否権ねぇしな」

「いやだから、おれらだってまだ授業すら終わってねぇのに誰が面倒見るんだっての!」

じつはキイ達、ただいま昼休みだったりする。昼食を食べ終わり一息ついた時にやって来たのがぬらりひょんと六右だった。
授業の間、六右の世話は見れない。せめて放課後に出直してくれと真知が反論するがそれさえもぬらりひょんはそれ盛大に笑い飛ばした。

「そうじゃねぇよ」

「はぁ?何が…」

ドガァアァアァアン!!!

・・・・・・。



「魔王のせがれの寝首、欠こうって輩はごまんといるからのう」




※ぬらりひょんが海坊主の仲間説

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