本当は分かってたのかもしれない、チビが此処にいるべきじゃないってこと。

本当は、チビは知ってたのかもしれない。
自分が此処いるべき場所じゃないこと。

でも、だけどずっと一緒にいてくれたんだね。
こんなぼくを、真っ直ぐ見てくれたんだね。

ありがとう。

ありがとう。

だから今度は―――ぼくの番

「キイさん!」

「チビを――――斬って!」

ぼくがチビを、真っ直ぐ見送る番。

「承知」

一閃は紅く光り、獣を斬った。

―――――――――。


獣は淡い光のなかで小さくなり、元の子猫の姿になった。

子猫は啓介に近づき、彼の手を舐めたあと、にゃあと鳴いた。


――ありがとう


子猫は、砂のよう消えた。

啓介は、一筋の涙を流し、呟いた。
彼らのそれは、たった2ヶ月までの親友へか、それとも刀を持った少女へか。
けれどはっきりとした、言葉だった。


「――ありがとう」






男は野太い悲鳴をあげた。

男の目の前には恐ろしい顔をした女がたっていてまるで形相の鬼のごと「ぎょえわあああ」

「ぎゃあああああ!!!


って何なんだよお前ほんっとだからなにその脅し方!?」

「ははは!」

教室で騒ぐのはまたもや一年三組の男子達。
その中に一緒に居るのは、眼鏡を外した、啓介だった。

―――――一方、立ち入り禁止の屋上では、白髪の無気力少女キイが仰向けに転がってあの妖怪雑誌を読んでいた。

しかしすぐにバサリと放り投げ、大きな欠伸を一つした。


「ふぁ〜」


これが、妖万部部長

【無気力白髪眼帯少女 高橋キイ】である。







―――それはまだ、始まったばかり。





初・無気力少女は刀をふるう

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