席替えしたら、隣は無愛想で笑いもしない女の子だった。

『よろしく』
『……うん』

そう頷いてみせた彼女はすぐに前を向いた。三年生に上がってからすぐに行われた席替えだった。

大体クラスに半分いる女子の中で寄りにもよって、こんな無愛想な女子が隣りか。反対側を見れば晴れやかに広がる青空がすぐに目に入る。……ま、いいや。寝易く様になったと思えばそれはそれで。

しかしその後、授業が終わって友達の所に向かった彼女を何となく見ていた。あんな感じでも友達いんだ、なんて思って見てたら、さっきの反応が嘘かのように友達に向けて笑顔を見せている。
……なんだ、ちゃんと笑えんだ。よく分からないけど、ホッとした俺がいた。そして笑えば可愛いじゃん、と続いて思った。けれどそんな気持ちは友達に購買に誘われて一瞬で消え去った。


そしてその次の日、また休み時間になって友達の所に行っていた佐野さんが帰ってきた。

「なあ、次の数学の宿題やった?」

別に、いつも隣の席の人に聞く事を聞いただけだった。失礼な事でも無いと思うし、やっている、やっていないで答えればいいだけの質問だ。

「え、どうして」

しかしビクリと肩を揺らした彼女は、驚いた顔でこっちを向いた。どうしてって、別にそんな理由なんてない。ただ聞いただけだったから。思わず言葉に詰まり、何も返せないでいる内に先生がやってきてその会話は終わった。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -