不良撃退の段 「いたっ!」 男数人に囲まれ、路地裏で思いっきり顔を殴られた。 私が何をしたって言うんだ。お前らがカツアゲなんかしてたから注意しただけだろ! これだから最近のキレやすい若者は…! 「調子乗ってんじゃねぇぞ、クソアマ!」 「偉そうに正義ぶんなよなー!」 「偉そうって…。悪いことしてたから注意しただけですよ?あなたたちよりは偉いと思いますが?」 「っの野郎…!」 今度は胸倉を掴まれ、壁に押し当てられてから反対を殴られた。 さて、どうやってこいつらを撃退しようか…。 ▼ ってな感じで、「レッツ、不良撃退!皆ならどうする?」コネタ、はじまりまーす! 因みにモデルは、現代後輩でーす。ギャラなしなうえ、叩かれ損だよ! ●文次郎のバヤイ● 「ギャッ!」 「うわあああ!」 どうやって撃退しようかと黙っていると、不良たちの後ろに一つの影。 その影が一人、また一人と不良たちを殴り、不良グループの中心二人を残して全員地面に寝かせた。 「女に手をあげるとは何事だ!」 「潮江先輩っ!」 颯爽と、まさに漫画みたいに格好よく登場したのは、潮江先輩だった。 指を鳴らしながら眉間にシワを寄せ、私の胸倉を掴んでいる男をギロリと睨みつける。 おー…あれは怖い。 「おい、大丈夫か?」 「両頬殴られましたー」 「なにぃ…?」 言う必要なかったんだけど、まぁ面白い展開になりそうなので本当のことを言ってみる。 すると潮江先輩はますます怒り、男の腕を掴んで捻りあげた。 悲鳴をあげる不良だが、潮江先輩は手加減なんてせず、そのまま一本背負い。お見事です! 「ったく、女を殴るなんて男の風上にもおけんな…」 「ありがとうございます、潮江先輩。格好よかったっす!」 「お前も一応、女だからな」 「一応ってなんですか。私は女ですよ」 「ははっ、そうだな。だが、いくら小平太に鍛えてもらっているからとは言え、あまりこう言うことに巻き込まれるな…。心配するだろう?」 「心配してくれるんですか?うっわ、さすが潮江先輩っ。むちゃくちゃ優しい!」 「当たり前だろ、バカタレ!女は身体を大事にしねぇとな」 「そういう古風なとこも好きっす!」 「あー、はいはい。解ったから帰るぞ」 「はいっ」 正統派! ●仙蔵のバヤイ● 「おいお前ら、私の連れに何をしている」 「あん?」 大通りから姿を現わしたのは、立花先輩。 珍しく不機嫌そうな顔をしており、腕を組んで立っている。 助けてくれるのかと思いきや、立花先輩はその場から動こうとせず、その場で男たちに口で喧嘩を売る。 「顔も悪ければ頭も悪そうだな」とか、「ゴミにはピッタリな場所だな」とか…。 そりゃあもう酷い。ガラスのハートの持ち主だったら絶対に凹んでる。それほど口が悪い。綺麗な顔をしているのに、口が悪い! 「このクソ野郎!」 私の胸倉を掴んでいた男がとうとうキレて、立花先輩へと掴みかかる。 止めたほうがいいのなぁ。と思いながら、口に出すことなく見守っていると、 「きゃああああああ!」 「ハァ!?」 最初に言っておく。私の叫び声じゃないからね。 掴んできた男の腕を立花先輩が掴み、自分の服を乱暴に破く。 傍から見ると、男が立花先輩を襲っているように見える…。そう、彼はこれを狙っていたのだ。 先輩の叫び声を聞いて、大通りから次々と人が集まり、焦った男は先輩から逃げ出そうとするも、先輩が力強く掴んでいるため離れることができない。 「どうかしましたか!?」 「た、助けてください…!この人に無理やり襲われて…っ」 「はっ?え、…ちがっ…!」 すぐに警察がやって来て、立花先輩は泣きながら(勿論、真似だ真似)簡単に事情を説明。 ようやく手を解放してもらった男は仲間たちと路地奥へと逃げていき、警察もそいつらを追った。 「さ、帰るぞ」 「あのー、立花先輩」 「何だ」 「そんなことしなくても倒せましたよね?」 「当たり前だ。だがよく考えろ。あそこで殴り返したら「喧嘩両成敗」になってしまう。しかし、あれならこちらが一方的な被害者になるだろう?」 「ああ…なるほど」 「それに、精神的にもクるしな」 綺麗な顔で悪役みたいに笑わないで頂きたいものです。 どっちが悪者? ●小平太のバヤイ● 「何してんだ?」 「あー?」 いつの間にか、私と男の間にいたのは七松先輩。 全員が驚いて言葉を失っている間に、胸倉を掴んでいる男の手を捻りあげ、同じ質問をした。 何が怖いって…。いつの間に出現したんですか?とか、無表情で捻りあげるの怖いっす。とかまぁ色々…。 「人の女に手を出すとは何事だ!」 「ギャッ!」 「それに、殴ったらちゃんと謝らないとダメなんだぞ!」 そう言いながら不良たちを殴っている七松先輩は、あとから彼らに謝るんだろうか…。 彼は矛盾なことばかり言うから突っ込み甲斐があるよね。 そんなことを考えているうちに、あっという間に不良たちを倒していった。さすがです、七松先輩。 「大丈夫か?」 「え、ええ…まぁ…。(大丈夫かな、この人たち)」 「おいお前ら、なに寝てる。ちゃんとこいつに謝れ」 寝てねぇよ!自分で倒したんじゃねぇか! 寝転ぶ男たちの頭や頬を叩き、痛みで男たちが目を覚ますと、「ヒッ…」と怯えた目で七松先輩を見上げる。 「お前ら、こいつを殴っただろ?ちゃんと謝れ」 「あの先輩…。私は別に構いませんから…」 「いやダメだ。ちゃんとごめんなさいするまで私は許さん。だって長次に怒られるもん!」 「(可愛いなぁおい!)でもですね、彼らはちょっと放心状態でして…」 「うるさい」 「痛いっ!」 な、殴られた!何故私まで殴られないといけないんだ! ほら、殴ったんだから私に謝れよ!謝って下さいよ! 「何で私がお前に謝らんとならんのだ?」 「だって殴ったじゃないですかっ」 「お前がうるさいからだろ?躾と暴力は違うぞ?」 「(あなたの場合、一緒ですよ!)」 「ほら、もう一発殴られたくなければ、こいつに謝れ」 ニッコリと、拳を出しながら彼らに言うと、彼らは震えあがって、私に向かって土下座をしてきた。 って、土下座ァ!? 「すみません!本当に申し訳ありませんでしたァ!」 「は!?え、……な、何だこれッ…」 「許して下さい!もうしませんから!」 「すみません、彼女さん!まさかこんな強い彼氏がいるなんて…」 「あ……あの…。土下座は…嫌、だなぁ…」 「姐さん!どうやったら許して頂けるでしょうか!」 「姐さんじゃねぇよ!止めろよ、それ!」 少しの間、町を歩いているだけで色んな人から「姐さん」と呼ばれるようになりました。 「それと愛情表現でもある!」 「怖い愛情表現ですね」 この街を支配する者 ( TOPへ △ | × ) |